[No.1189-2]田舎の色
No.1189-2
「記憶が呼び起されてるのかな?」
「どうだろう・・・」
そんな気もするが、違う気もする。
もっと複雑な何かが・・・。
「最近、特に感じるようになったな」
「みんな歳をとったせいかもしれない・・・」
両親はもちろん、この私も。
若い時と感じ方が変わった。
「そりゃそうでしょ」
「あなただって色々あったでしょ?」
長く生きていればひとつやふたつ“何か”はある。
先週、歩いた道もそうだった。
「そう言えば・・・」
「かつて母親が入院してた病院に向かってたの」
父の手術に立ち会うために。
一歩一歩、踏みしめるかのように歩いた。
「残念ながら青空も曇り空に見えたわ」
「私には」
色々な想いが重なり、色が形成されたと思う。
目に見える色、目には見えない色・・・。
「何だか哲学っぽいけど」
「分かる気がする」
決して鮮やかな色ではなかった。
でも、そこに悲しみは感じなかった。
「むしろ力強い感じがした」
そう・・・誰かが私の背中を押してくれているような。
| 固定リンク | 0
「(048)小説No.1176~1200」カテゴリの記事
- [No.1200-2]道なき道を行く(2023.07.27)
- [No.1200-1]道なき道を行く(2023.07.26)
- [No.1199-2]お弁当の絵文字(2023.07.23)
- [No.1199-1]お弁当の絵文字(2023.07.22)
- [No.1198-2]マーマレード(2023.07.20)
コメント