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[No.1189-2]田舎の色

No.1189-2

「記憶が呼び起されてるのかな?」
「どうだろう・・・」

そんな気もするが、違う気もする。
もっと複雑な何かが・・・。

「最近、特に感じるようになったな」
「みんな歳をとったせいかもしれない・・・」

両親はもちろん、この私も。
若い時と感じ方が変わった。

「そりゃそうでしょ」
「あなただって色々あったでしょ?」

長く生きていればひとつやふたつ“何か”はある。
先週、歩いた道もそうだった。

「そう言えば・・・」
「かつて母親が入院してた病院に向かってたの」

父の手術に立ち会うために。
一歩一歩、踏みしめるかのように歩いた。

「残念ながら青空も曇り空に見えたわ」
「私には」

色々な想いが重なり、色が形成されたと思う。
目に見える色、目には見えない色・・・。

「何だか哲学っぽいけど」
「分かる気がする」

決して鮮やかな色ではなかった。
でも、そこに悲しみは感じなかった。

「むしろ力強い感じがした」

そう・・・誰かが私の背中を押してくれているような。

(No.1189完)
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