[No.1190-2]○○○さん
No.1190-2
「確かに彼女とは・・・」
「何だよ?その疑いの目は・・・ただの同僚だよ」
とは言え言い方には気を付けたい。
ただの・・・安っぽい関係に聞こえるからだ。
「彼女、一生懸命だからさ」
「それに応えてあげたくて」
彼女の仕事は、言わば縁の下の力持ちのような感じだ。
誰かがやらなきゃならない仕事を彼女がしている。
「出会う前は、ひとりでさ・・・」
「誰にも気にされず」
勝手な想像だけど、張り合いがなかったと思う。
「それは・・・言えてるね」
「気にされてるから頑張れる・・・みたいな」
だから僕はあえて、細かい指摘をした。
良いことも悪いことも。
「最初は嫌われたよw」
「でも、そのうち・・・」
彼女の雰囲気が変わり始めた。
「だから、僕が転勤した後も、連絡は取り合ってた」
「でも、僕にも色々あって・・・」
いつの間にか連絡が途絶えてしまった。
「だから、辞める時も・・・」
「連絡がなくても当然と言えば当然だけどね」
僕のことなど記憶の片隅にもなかっただろう。
退社する、しないの決断の中では。
「私は違うと思うな、連絡しなかった理由」
同性だけにその理由が分かると言う。
「あなたに知らせるのが怖かったからよ、鈍感ね!」
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