[No.1188-2]憧れの果物
No.1188-2
「缶詰・・・かなり絞られてくるよね」
「だろうな」
誕生日とか、特別な日に食べさせてもらえた。
缶詰だけど。
「みかんとか桃・・・とか」
「あとは・・・ん?」
どうやら気付いたようだ。
「もしかしてパイン?」
「正解!」
正解が出た以上、二つの壁の説明が必要だろう。
「もちろんよ、意味が分からない」
「ひとつめの壁は・・・」
缶詰のパインですら特別だった。
だから、小さい頃、生のパインを食べた記憶がない。
「これがひとつめの壁だよ」
「まずは生パイン」
ここを突破すると次の壁にぶちあたる。
「それなら、もうアレしかないじゃん」
「要は・・・ヘタというか葉っぱが付いた・・・」
そう、葉が付いたまま売られているパインだ。
「なかなか手が出ないよな」
「昔のイメージがあるから」
もちろん、金銭的に買えないわけじゃない。
でも、遠い記憶がそうさせているのかもしれない。
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