[No.1184-2]ラベンダー畑にて
No.1184-2
「地元の花屋で、母の日を祝う・・・」
「なかなかいいだろ?」
母も喜んでくれているはずだ。
「今年はどんな報告を?」
「そうだな・・・」
春先にちょっとした病気を患った。
まぁ、持病と言えば持病だが・・・。
「今は元気だよと」
「うん!それがいいね」
電話で話すといつも体を心配してくれた。
だから、それがいいと思った。
「けどさ、人の心配より自分の心配をしろって」
「母親だもん、仕方ないよ」
とにかく今年も元気な姿を届けたい。
色鮮やかな花と共に。
「そう言えばラベンダーが好きだったんだよね?」
「そうだよ」
とは言え、それを知ったのも3年前だった。
それも、本人の口から聞いたものではなかった。
「遺影を選ぶときに、父親から聞かされて」
ラベンダー畑での一枚だった。
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