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2023年5月

[No.1187-2]ネッチン

No.1187-2

「小でミスすると、他の人と入れ替わる」
「だから、小になったら必死だよ」

他の人が数名なら、戻れるチャンスはある。
けど、人数が多ければなかなか戻れない。

「なるほど・・・」
「そうなると、小の風当たりは強いよね」

皆、入れ替わりたいから、結果そうなる。
小を狙えと。

「王と大中が、小を集中的に狙うこともあるしな」
「それって、談合みたいw」

イメージとしてはまさにその通りだ。
自分の地位を守るため、申し合わせたかのように。

「でも、急に裏切って、王を狙う大が居たりw」
「何だか世の中の縮図みたいだね」

今思えばそうかもしれない。
子供の頃はそんなこと考えもしなかったけど。

「何だか面白そうね」
「だろ?」

最低4人居れば遊べる。
5人居れば、さらに盛り上がる。

「それにしても、誰が始めたんだろう・・・」
「いつの間にか、学校で流行ってたけど」

流行って、いつもそうだ。
気付けば、流行っている。

「SNSとか無縁の時代なのにね」

花の種のように風に運ばれて・・・なんてことはないかな?

(No.1187完)
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[No.1187-1]ネッチン

No.1187-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なぁ、“ネッチン”を知ってる?」
「それって最近流行の?」

何かと勘違いしているが、それは聞くまい。
ただ、早々に訂正しておきたい。

「遊びの名前だよ」
「ドッジボール、みたいな」

ネットで検索すると辛うじて名前が出てくる。
遊び自体はそこそこ知られてはいるようだが・・・。

「遊び?そんな遊びあったっけ?」
「まぁ、地域差はあるとは思うけど」

遠い記憶ではこうだ。
地面に田んぼの“田”を書き、それぞれに位を付ける。

「くらい?」
「順序というか、強さね」

一番強いのが王、これに大中小と続く。
つまり、小が一番弱い。

「ルールは?」
「簡単に言えば、下剋上かな」

例えば小が中にボールを打ち込む。
それをどこかに打ち返せなければ、順位が入れ替わる。

「小が中に、中が小に?」
「そう!まさに下剋上だろ?」

つまり、全ての位にこのルールが適用される。

「じゃあ、小の人が打ち返せなかったら?」
「おっ!鋭い!」

ネッチンの魅力はここにあるのかもしれないからだ。

(No.1187-2へ続く)

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[No.1186-2]友達の関係

No.1186-2

「でもさぁ、急にどうしたのよ?」
「こんな話して」

特に意味はない。
ふと、そう思っただけだ。

「悩みごとでもあるのかと」
「逆に悩みごとがない人っているのかしらw」

本当にふとそう思っただけだ。
ただ、一瞬、何かが頭をよぎったのは確かだ。

「ならいいけど」

Cは私の親友だ。
一方、Bの親友でもある。

「私ってモテモテじゃない?」
「かもね」

誰しもがそうだとは言わない。
けど、そういう関係は多いだろう。

「あなただって、Aの親友でしょ?」
「ちょっと、妬けちゃうかも」

そう・・・少なからずそんな気持ちはある。
Bといる時はどんな話をしているのだろうと。

「まるで恋人同士の会話ねw」
「あははw」

人はこうして繋がり合っているのかもしれない。
知らないうちに。

(No.1186完)
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[No.1186-1]友達の関係

No.1186-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「私たちってさぁ・・・」
「直接的な友達じゃなかったよね?」

私にはAという親友が居る。
目の前の友達にはBという親友が居る。

「そう言えばそうよね」

AとBは親友同士だ。
私たちはABを通して友達になった。

「その説明、分かりやすっ!」
「さすが、理系!」

今はA以上に付き合いが多いかもしれない。
目の前の友人とは。

「目の前とか面倒だから」
「友人Cでいいよw」

友人関係とは不思議なものだ。
直接、友達になる場合もあれば、私たちのような場合もある。

「親しくなったきっかけは何だった?」
「えっ・・・と・・・」

そう言えば何だったんだろうか?
それがあるような、ないような・・・。

「何となく・・・じゃない?」
「かもねw」

お互い、ABから紹介されたわけでもない。
いつの間にか、ごく自然に。

(No.1186-2へ続く)

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ホタル通信 No.533

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.600 ふたりの行方
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

読み手の方は、この二人は一体何の話をしているのか、分からないと思います。でも、これぞ、冬のホタルです。

ほぼ事実な小説なため、多少オブラートに包んで書けば、小説上の彼女はとある男性と同居している、ただ、同居と言っても行く場所がなく、転がり込んでいる状態です。そのため、彼女は非常に弱い立場でした。
そこへ、小説上の私と知り合うことになり、彼女のために部屋を借りようとした・・・そんな話です。ちょっとしたナイト気取りですよ。悪い王様からお姫様を助け出すような・・・。当時は本気で彼女の返事次第では行動を起こしていたと思います。でも、小説の通り、それが実現することはありませんでした。その時、正直に言えばホッとした自分も居ました。

以上のようなことを二羽のハトを見て思い出したんです。
ハトは、僕にとっては彼女のそのものなんです。群れているようで群れていない・・・時々、ポツンと一羽だけで、その辺りをウロウロしてたり・・・。今となってはもう過去のことですが、読み直すと今でも胸が熱くなります。

冬のホタルは、その彼女のためだけに立ち上げたのですが、気付けば方向性を変えながら今に至っています。

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[No.1185-2]街の灯り

No.1185-2

「ねぇ、二軒目だけど・・・」

せっかくだからもう少し今の気分を楽しみたい。
だから・・・。

「例の公園で飲む?」
「そう!それ!」

街中で飲むのはさすがに気が引ける。
お行儀が悪いし。

「まぁ、それもいいかもしれないね」
「でしょ!」

働き始めた時、立ち寄った公園だ。
夜空を見上げながら、将来を語り合ったものだ。

「私たちの原点ね」
「そこまでの存在?!」

じゃないとしても、今日はそこに行ってみたい。

「格別な夜空が見れそうね」
「だといいな」

街の灯りが消え始める辺りにその公園がある。
人通りが多い分、安心感も高い。

「そうこう話しているうちに公園よ」
「じゃ、あそこのコンビにで・・・」

缶ビールを二本買う。

「夜空はあの時のまんまね」

(No.1185完)
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[No.1185-1]街の灯り

No.1185-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ・・・こんなんだっけ?」
「どうしたの?」

夜の街を歩くのは随分久しぶりのような気がする。
街の灯りがなんとも幻想的に見える。

「街の灯り?」
「なんだか新鮮と言うか・・・」

歩きなれた街だし、よく通る道だ。
新鮮な要素はどこにもないはずなのに。

「まぁ、確かに出歩かなくなったわね」
「以前に比べたら」

こうして友人と飲み歩くのも久しぶりだ。
もともと、インドア派ということもあって。

「ほら、あのビルだって」
「夜空に映えるというか・・・」

真っ暗な夜空と対照的に窓の灯りが印象的だ。
見慣れた風景のはずなのに。

「私・・・酔ってるのかな?」
「まだ、一軒目よw」

何だろう・・・この変な感覚は。
ただ、夜の街を歩いているだけなのに。

「まぁ、色々あったからね」
「私たちも世の中も」

この不思議な感情はその反動かもしれない。

(No.1185-2へ続く)

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[No.1184-2]ラベンダー畑にて

No.1184-2

「地元の花屋で、母の日を祝う・・・」
「なかなかいいだろ?」

母も喜んでくれているはずだ。

「今年はどんな報告を?」
「そうだな・・・」

春先にちょっとした病気を患った。
まぁ、持病と言えば持病だが・・・。

「今は元気だよと」
「うん!それがいいね」

電話で話すといつも体を心配してくれた。
だから、それがいいと思った。

「けどさ、人の心配より自分の心配をしろって」
「母親だもん、仕方ないよ」

とにかく今年も元気な姿を届けたい。
色鮮やかな花と共に。

「そう言えばラベンダーが好きだったんだよね?」
「そうだよ」

とは言え、それを知ったのも3年前だった。
それも、本人の口から聞いたものではなかった。

「遺影を選ぶときに、父親から聞かされて」

ラベンダー畑での一枚だった。

(No.1184完)
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[No.1184-1]ラベンダー畑にて

No.1184-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「今年はどうするの?」
「今年も持って行くよ」

もうすぐ母の日だ。
3年前までは毎年花を送っていた。

「そっか・・・それがいいよね」
「だろ?」

仕事の都合で遠くで暮らしていた。
だから、母の日に実家に行けなかった。

「まぁ、今でも4時間近くは掛かるけどねw」
「そんなに!?」

道中、目立たぬように実家の近くの店で花を買う。

「照れ屋さんね」

さすがに花を持ってウロウロするのは気が引ける。
それに、花が傷んでも困るし。

「確かに・・・一理あるわね」
「地産地消だよ」

やや意味が違うが、そんな気持ちもある。
少しでも地元に貢献したいと。

「随分と地元想いなのね?」
「不思議とそんな気持ちになるんだよな」

実家に居た時は1ミリも感じなかった感情だった。

(No.1184-2へ続く)

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ホタル通信 No.532

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.680 巣立ち
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

この投稿の直前に、ほぼ同じテーマの小説を投稿しています。嘘っぽいですが、単なる偶然です。

自分で言うのも何ですが、小説がダブらないように注意はしていますが、別に特別な管理をしているわけではなく、単に記憶だけに頼っています。過去、作った小説は何となく覚えているんですよね、不思議と。
さて、前置きが長くなりましたが、「No.1183 気付いているから」は言わば、No.680のアナザーストーリーのようなものです。もちろん、過去に似た小説を作ったことは記憶していましたからそれを知った上で作っています。ただ、ナンバーまでは覚えていませんでしたがw

話を戻しましょう。この小説は、実体験がもとになっています。ただ、舞台は中学ではなく、高校です。
同じ中学出身の人が隣のクラスにいたことから、入学当初はその人と過ごしていました。中学よりも高校の方がはるかに知らない人が多いですからね。余計に結び付きが強かったと思います。ですが、小説にも書いてある通り、利害関係が一致したに過ぎません。ですから、1か月もすれば自然と会わなくなりました、それ以来、彼とは会っていません。

このあたりの心の変化をNo.1183ではもう少し触れています。「このままじゃいけない!」と気付いているから・・・。

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[No.1183-2]気付いているから

No.1183-2

「ただ、5月に入ると」
「さすがに気付き始めるのよ」

今の状況を続ける事ができないと。
クラスの中も状況が変わり始めるからだ。

「仲良しグループができる?」
「その通り!」

それは小学校時代の友人も同じだ。

「お互い焦り始めて」
「そのうち・・・」

もちろん、嫌いになったわけじゃない。

「分かってるわよ」
「早くしないと孤立しちゃうからね」

だからだんだんと友人とは会わなくなる。

「で、朝も一緒に行かなくなるのよね」
「なんていうか、後戻りしちゃいけない・・・みたいな」

大袈裟だけど。

「後、数週間もすればそうなると思う」
「でも、決して悪いことじゃない」

多分、今はぎごちなくなっている時期だろう。
お互い、どう切り出そうか・・・と。

「・・・そういうことだったのね」
「あんたはどうなのよ?」

これまでの話は私の経験でもある。
むしろ、経験したから言えることでもある。

「私の・・・じゃなくて、私たちの経験よ」

(No.1183完)
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[No.1183-1]気付いているから

No.1183-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
自分の中では春の風物詩になっている。
5月の中頃には今の風景は見られなくなるだろう。

「何の話?」
「話せば長くなるわよ」

短く話せと言わんばかりの顔が目の前にある。

「4月になるとさ」
「集団で学校に通う中学生が増えるのよね」

小学生なら年中見られる風景だ。
でも、中学生の場合はこの時期に限られる。

「そうだっけ?」
「ちゃんと理由があるのよ」

簡単に言えば小学生からの友達と学校に通う。
でも、その友達はおそらく同じクラスではない。

「探偵みたいな推理ねw」
「入学後、しばらくは友達ができないからさ」

単に小学校からスライドするわけではない。
いくつかの小学校から人が集まる。

「私の場合は、少なくとも2校から来てた」

だから、小学校の友人と同じクラスにはなり難い。

「休み時間は、その友人と過ごしたりするのね」

もちろん、気にはなっている。
早く、クラスの中で友人を作らないといけないと。

「でも、他の子もそんな感じでさ」
「あははw分かる気がする」

そうこうしているうちに1ヶ月が過ぎていく。

(No.1183-2へ続く)

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