[No.1173-2]漫画の方じゃなくて
No.1173-2
「ただ、週刊の少年誌に連載してたって」
「それ・・・かなり凄いことじゃないの!」
言われてみればそうだ。
漫画家としてデビューするだけでも難しい世界だ。
「けど、驚いたのはその先なんだよ」
「えっ・・・まだなにかあるの?!」
その漫画家の代表作を調べていた時だった。
「架空の町が舞台の漫画があったんだけど」
「この展開からすると・・・もしかして」
そう、その町は地元が舞台となっていた。
「どうして分かったの?」
「漫画的には“背景”と言った方がいいのかな?」
そこには見慣れた風景が描かれていた。
私鉄の最寄り駅やよく遊んだ公園が、そこに。
「家の近くに大きな橋が架かってるんだけど」
「その河原なんかも」
知らない人が見ればただの駅や公園だ。
河原なんて、どこでもそれほど大差ない。
「めちゃくちゃ興奮したよ!」
「そりゃそうよね!」
興奮すると共に、涙が溢れ出てきた。
単なる懐かしさだけじゃない。
「私も・・・見てみたい!」
「漫画の方じゃなくて」
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