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[No.1175-2]100円の重み

No.1175-2

「今じゃ、100円以上もするコーヒーをさ」
「・・・なんだろうね、この気持ち」

それどころかもっと高価な物だって買える歳になった。
100円なんて息をするより簡単に消費してしまう。

「昔を思うと100円ってやっぱり重いよ」
「そうかもしれないね」

何気なく買った缶コーヒーが思い出させてくれた。
とても大事なことを。

「缶コーヒーに感謝しなきゃね!」
「ほんとそう」

お茶を買っていたらどうだったんだろうか?
どうでもいいことだが。

「あははw」
「違う展開が待ってたかもね!

とにかく、思いがけない日曜日の午後になった。

「あっ!忘れた」
「はい、これ」

この缶コーヒーは彼女のために買った。
手渡すまでに随分、時間が掛かってしまったが。

「私に?」
「好きだろ?この銘柄」

それにまだ肌寒い。

「温かいうちにどうぞ」
「・・・ほんと温かいね」

(No.1175完)
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