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[No.1163-1]吼えない犬

No.1163-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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実家で、柴犬を飼っている。
かれこれ15年以上、生きている。

「初めて会ったのは・・・」

まだ子犬のころだった。
実家に帰ると・・・それが居た。

「知らなかったの?」
「うん、知らされてなかった」

それはさておき・・・。
嬉しいサプライズになる・・・はずだった。

「はずだった?犬は好きだよね?」
「好きよ」

本来なら可愛い子犬との対面だ。
嬉しくないはずがない。

「ならどうして?」
「その子犬・・・」

私を見るなり、吼え始めた。
いや・・・正確には私を見る前に吼えていた。

「見る前に?」
「うん、玄関に近付いたあたりから」

何かを察して吼え始めたようだ。

「家族に聞いたら、いつもだって」

そう・・・吼え癖がある犬だった。
いつも顔を合わせる家族以外、吼えるらしい。

「番犬にはいいけどねw」
「そうなんだよね」

けど、笑えるレベルにはなかった。
一度、吠え出すと、私が居なくなるまで続いた。

(No.1163-2へ続く)

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