[No.1167-2]暗闇のサギ
No.1167-2
「あっ!」
サギのくちばしが素早く動いた。
もちろん、狙うは川の中だ。
「捕まえた?!」
「かもしれへんな」
ここからだとさすがにそこまでは分からない。
でも、さっきとは動きが違う。
「やっぱり、捕まえたんだろうな」
それにしても、この暗闇で目が利くとは驚きだ。
川の中ともなればさらにハードルが上がる。
「すごいな!サギ!」
サギと決まったわけじゃないが、今はよしとしよう。
とりあえずの名前がないと話が進まない。
「だよな!」
その後も、さっきまでと同じように獲物を狙っている。
僕たちが見ているとも知らずに。
「なんか、他人とは思えへん」
「他人?サギのことか?!」
彼女が唐突にサギを自分にたとえ始めた。
「今の私みたいで」
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