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2023年1月

[No.1161-1]ビー玉

No.1161-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あっ!」

今、足で何かを蹴った。
でも、それが何であるかすぐに分かった。

「どうしたの?」
「ちょっと待ってて」

幸いにもそれほど遠くに行っていない。
それにキラキラ光っているから見つけやすい。

「ほら、これ」
「ビー玉・・・だよね?」

緑と赤が混じった透明なビー玉だ。
久しぶりに見た気がする。

「懐かしいな」
「子供の頃、よく遊んだな」

友達と遊ぶこともあれば、一人でも遊べる。

「私は集めてたことがあるわよ」
「女子らしいな」

確かにアクセサリー感覚だろう。
子供にとっては安価な宝石・・・と言ってもいい。

「落とし物かな?」
「かもな」

忘れ物の可能性もある。
ここが公園だからだ。

(No.1161-2へ続く)

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[No.1160-2]まさかの光景

No.1160-2

「秘密の入り口でもあるのかな?」
「・・・どうだろう」

いずれにせよ・・・心配だ。

「・・・あれ?」
「居ない・・・」

目を離した隙にハトを見失ってしまった。

「人が降りてきたよ!」
「だ、大丈夫かな・・・」

ホームに列車が到着したようだ。
大勢の人がエスカレータで下りてきた。

「どこ行ったのよ!」

最悪、人に踏まれかねない。
警戒心が薄いだろうから。

「あっ!居た居た!」
「ほんとだ!」

幸いにも人が下りてきていないエスカレータ付近に居た。
あそこなら一先ず安心だ。

「駅員さん・・・呼ぶ?」
「うん、それがいいね」

何かあってからでは遅い。

「えっ・・・上りのエスカレータに・・・」

(No.1160完)
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[No.1160-1]まさかの光景

No.1160-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ!?」
「えっ!?」

ほぼ同時に驚きの声をあげた。
地味だけど衝撃的な光景が目の前にある。

「ちょっとw」
「笑わせないでよね・・・ったく」

目の前を一羽のハトが歩いている。

「うそでしょ・・・」

歩いていること自体はなにも問題はない。
歩いている場所が・・・問題だ。

「どこから入ってきたんだろう・・・」
「多分・・・ホームからじゃない?」

ここは駅のホームの地下1階に相当する場所だ。
ホームとはエスカレータで繋がっている。

「そりゃそうだけど、下りに乗って?」
「プッ!」

友人の言葉に思わず吹き出してしまった。
そんな光景を想像したらそうなってしまう。

「ちょ、ちょっと・・・笑わせないでよ」
「私はまじめに答えたつもりよ」

乗ったかどうかは別にして通っては来ただろう。
他に入ってこれそうな経路は見当たらないからだ。

(No.1160-2へ続く)

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ホタル通信 No.520

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.483 続・行く手をさえぎる者
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

いつものハトの話ですw何度か記事にしていますが、私にとってハトは寂しさの象徴である反面、憎めない存在です。

冒頭から続くシーンは、ほぼ事実であり、一歩間違えばフンの雨が降り注ぐような状況です。これ、決して大袈裟な表現ではありません。
いつも思うのが、これだけアチコチに電線がありながら、なぜかしら、自分が通る橋の上の電線に密集しています。これを嫌がらせと言わずして何と表現していいのやら・・・。遠回りするわけにもいかず、一か八かで橋を突破しています。

でも、冷静に考えてみれば、ハトは人間の生活圏で同居している仲間であり、つかず離れずの存在です。
少し話は反れますが、草刈り作業をした後、ハトがそこに群がって懸命に何かをつついている姿をよく見掛けます。草が無くなったために、小さな虫や木の実などが顔を出したのでしょうか?それはそれは無我夢中でw
そんな姿を見ていると、何だか笑えるというか、微笑ましいと言うか、ずっと見ていられますね。

そうそう!つい最近、駅の地下ホームを歩いているハトを見掛けました。それがまた可笑しくて・・・近い内に小説にしようと思っています。

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[No.1159-2]焦らず急いで

No.1159-2

「なるほど・・・」
「だから、あんな歩き方なのね!」

別の表現をすれば“焦らず急いで”いた。
その証拠に表情は冷静そのものだった。

「何事もなかったように振舞ってるよね」
「あははwだね!」

ある意味、人ごみに溶け込み仕事をこなす・・・。
まるで探偵かスパイのような人だ。

「早い話、プロってこと!」
「そうだよな」

それにしてもすごい人ごみだ。
さすがクリスマス前・・・という感じだ。

「特にここはおもちゃ売り場だし」

他のフロアーよりも熱気を感じる。

「いつもより、することありそうだしね」
「ラッピングとか・・・」

確かに普段よりも仕事量は増えそうだ。
実際、レジにも行列が出来ている。

「ほら、あの子・・・」

さっきの女の子もレジで忙しそうだ。
でも、表情はやはり冷静に見える。

「頼もしいね!」
「だよな、若いのに」

その子の頑張りもあり、行列も解消されつつある。

「がんば・・・あっ!」
「プッ!」

またその子が走り出した・・・ラッピングされた荷物を抱えて。

(No.1159完)
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[No.1159-1]焦らず急いで

No.1159-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「プッ!」

思わず吹き出してしまった。
その女性の行動に。

「なになに?!思い出し笑い?」
「ごめんごめん」

何があったのか、詳しくは分からない。
けど、状況的に、十分推測はできる。

「ほら、あの女性・・・」

正しくは女性と言うより、女の子に近い。
20代前半に見える。

「プッ!あっ・・・」
「そうなるだろ?」

彼女もそれを見て笑ってしまったようだ。

「歩き方が・・・変・・・というか」
「可愛くもあるだろ?」

一言で表せば、競歩の様な歩き方をしている。
少なくとも走ってはいないからだ。

「確かに競歩っぽい!」
「真相は多分・・・」

その女の子は、目の前を横切り、ある人の元へ駈け付けた。
ある人・・多分、自分の店の客だと思う。

「忘れ物があったのかも」

何かを届けたように見えたからだ。
そして、帰りも同じように競歩っぽく歩いてきた。

「ほら、こんな人ごみだろ?」

走るわけにはいかない。
でも、急がないと客を見失ってしまったはずだ。

(No.1159-2へ続く)

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[No.1158-2]続・小さな虫

No.1158-2

「それで大きくなっていた?」
「ううん・・・変わってなかった」

小さい虫は小さなままだった。
でも、心配はなかった。

「なんで?」
「元気だったから」

ちょろちょろ動く姿は以前のままだった。

「安心ね」
「うん!」

いつの間にか私に母性が目覚めたらしい。
もはやそれは虫ではない。

「息子?」
「かもしれないw」

男子には悪いが、娘・・・というわけにはいかない。

「それから・・・聞くまでもないけど・・・どうしたの?」
「もちろん、良い意味でスルーよ」

踏みつぶしてしまわないように注意が必要だ。
トイレの出入りは足元をよく見て・・・と。

「あははw気を遣うね!」
「ほんと、気を抜く場所なのに!」

次はいつ出会えるのだろう・・・楽しみだ。

(No.1158完)
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[No.1158-1]続・小さな虫

No.1158-1    [No.1140-1]小さな虫

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ!?まだ居たの?」

正月明け早々、それと再会した。

「最初に言っておくけど虫じゃないからね」
「分かってるよ」

数か月前、トイレで見掛けて以来だった。
また、そいつが現れた。

「どこに?」
「また、トイレw」

閉じ込められていたわけではないと思う。
扉には出入りできるだけの十分な隙間はある。

「それを認識してたら・・・の話だけど」
「確かに」

そのムカデのような虫・・・じゃなくて・・・。
その・・・。

「面倒だから虫でよくない?」
「あなたがそれを言う!?」

でも、その方が有難い。

「で、話を戻すとまたトイレに出たわけよ!」
「好かれてる?」

それはどうだろうか?
トイレ以外では見掛けたことはない。

(No.1158-2へ続く)

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ホタル通信 No.519

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.475 食堂の匂い
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

何だか締まりのない話なんですが、概ねその通りの小説です。今でも時々、思い出します。

さて、肝心の匂いのもとは、天ぷらや唐揚げなどの油ものです。それならスーパーやデパートでも同じ匂いはしてきそうですが、それとはまた違った匂いです。良い意味で上品ではない、人情溢れる匂いと言いましょうか・・・なかなか上手く表現できません。そんな商店街が最寄り駅にあって、駅に行くたびに記憶をくすぐられます。

小説に出てくる親戚は父の妹夫婦です。その親戚に可愛がってもらったのですが、血が濃いその妹ではなく、その旦那さんに特に可愛がってもらいました。
細かいことを言えば、かなり近しい親戚であっても旦那さんは赤の他人です。でも、その旦那さんを含めて、その子供にも可愛がってもらいました。子供・・・と言っても、私が小学生の時に高校生くらいでしたから、歳の離れたお姉さんのような存在でした。

だからなんです。その匂いには良い想い出しか紐づいていないのでいつまでも記憶に残っています。家を訪れる度、本当に喜んでくれて美味しいものを食べさせてくれたり・・・感謝しかありません。ありがとう!おじさん、お姉さん!

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