[No.1152-2]長崎ちゃんぽん
No.1152-2
「僕にとってはある意味おふくろの味かな?」
「あはは、かもね」
祖父母の記憶はちゃんぽんの記憶と言ってもいい。
申し訳ないが。
「野菜の味がやさしくてさ」
「だから、野菜大盛り?」
ちゃんぽんの旨味は野菜にある。
だから、大盛りを選んだ。
「かなりのボリウムだけどな」
予想の上を行く量だった。
少し引くくらいに。
「頑張って食べるよ!」
「そうそう!」
太麺に絡む深みがあるスープ。
野菜の旨味が感じられる。
「評論家みたいね」
「そりゃ、小さい頃から食べてるからね」
しばらく食べてなかったけど味の記憶は残っていた。
鮮明に。
「残念だけど祖父母の家はもうないし」
「あの食堂もやってないだろうな」
でも、味の記憶だけはこれからも残り続けるだろう。
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