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[No.1153-2]美味しい方

No.1153-2

「・・・これも期待大だね」
「ほら!」

むき終えた実を半分に割る。
そこから果汁が溢れ出ている、大袈裟だけど。

「みずみずしいな」
「これも甘い証拠よ!」

今回の2つは、いい勝負になりそうだ。

「じゃぁ、失礼して」

そう言うと最初にむいたみかんをひと房、口に運んだ。

「なるほど・・・」
「こっちはどうかな?」

今度はもうひとつのみかんで同じことをした。

「う~ん・・・」

はたから見たら彼女の行動はどう見えるのだろう。

「・・・こっちの方かな?」

その“こっちの方を”僕に渡す。

「甘さはこれに負けるけど味が濃いよ」

僕もその意見には同意だ。

「どう?」
「うん!美味しい!」

彼女は試食してから美味しい方を僕に渡してくれる。

(No.1153完)
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