[No.1153-2]美味しい方
No.1153-2
「・・・これも期待大だね」
「ほら!」
むき終えた実を半分に割る。
そこから果汁が溢れ出ている、大袈裟だけど。
「みずみずしいな」
「これも甘い証拠よ!」
今回の2つは、いい勝負になりそうだ。
「じゃぁ、失礼して」
そう言うと最初にむいたみかんをひと房、口に運んだ。
「なるほど・・・」
「こっちはどうかな?」
今度はもうひとつのみかんで同じことをした。
「う~ん・・・」
はたから見たら彼女の行動はどう見えるのだろう。
「・・・こっちの方かな?」
その“こっちの方を”僕に渡す。
「甘さはこれに負けるけど味が濃いよ」
僕もその意見には同意だ。
「どう?」
「うん!美味しい!」
彼女は試食してから美味しい方を僕に渡してくれる。
| 固定リンク | 0
「(047)小説No.1151~1175」カテゴリの記事
- [No.1179-2]カモとゴミ(2023.04.13)
- [No.1175-2]100円の重み(2023.03.28)
- [No.1175-1]100円の重み(2023.03.26)
- [No.1174-2]私の仮説(2023.03.24)
- [No.1174-1]私の仮説(2023.03.23)
コメント