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[No.1150-2]嬉しい言葉

No.1150-2

「・・・どうしたの?」
「考えごと?」

いけない。
考えごとが顔に出ていたようだ。

「まぁ・・・考えごとと言えば考えごとかな?」
「悩みごと?」

悩みごとではない。
けど、強いて言えば贅沢な悩みごとかもしれない。

「そのコートさぁ・・・」
「誰が買ったんだっけ?」

彼女がキョトンとした顔をしている。

「誰って、あなたでしょ?」
「そ、そうだよな・・・」

彼女は嘘を付いていない。
純粋な声なんだ。

「ふ~ん・・・何だかさっきから様子が変よ?」
「なんでもないよ」

コートを買ったのは間違いなく彼女だ。
でも、そのお金は僕が給料として稼いだものだ。

だから“あなたに買ってもらった”と彼女は言うのだ。

(No.1150完)
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