[No.1145-2]思い出のラジオ
No.1145-2
「チープなもの?」
「当時はそう思わなかったけどな」
音が出ただけで感動した。
自分専用のラジオだったことも大きい。
「あまり綺麗に受信できなかったけど」
「それでも毎日、聞いたものさ」
ヘッドホンではなく、片耳のイヤホンで聴く。
昔ながらのあの肌色のイヤホンだ。
「レトロだねw」
「ほんとだよ」
振り返ると、子供向けの簡易的なラジオだ。
AMしか入らなかったし。
「知ってる?ラジオってさ」
「数個の部品で何とかなるんだよ」
大袈裟かもしれないが、そんな感じだ。
特に安物のラジオは。
「だから、僕のラジオも」
「中身はスカスカだったw」
一度、興味本位で分解したことがあった。
素人でも簡単に分解できた。
「じゃ、原点はそこにあるのね」
「今の仕事に通じてるでしょ?」
その言葉に大いに気付かされた。
確かにエンジニア人生はそこから始まったかもしれない。
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