[No.1150-1]嬉しい言葉
No.1150-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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時々、彼女が口にする言葉がある。
間違っているけど、正しくもある。
「ん?どうしたの?」
「なんでもないよ」
その言葉に気の利いた返事をしたことはない。
いつも良い意味でスルーしている。
「寒くなってきたね」
「だね」
数日前から急に寒さが増してきた。
だから、衣替えも急ピッチで進んだ。
「これ暖かいんだよ!」
「良かったね!」
それはベージュのハーフコートだ。
「前のが傷んじゃったからさ!」
「先月買っておいたの」
嬉しそうな彼女を見ると僕も嬉しくなる。
急な寒さも時には悪くない。
「大事に着るね!」
「うん!」
とは言え、僕が直接買ってあげたものではない。
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