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[No.1141-1]金木犀のころ

No.1141-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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今時期は、あちこちでこの匂いを嗅ぐことになる。
とは言え、少しキョロキョロしないと見つからない。

「また、この匂いの季節になったね」

だからと言って何がどうなるわけでもない。
季節の巡りをただ感じているだけだ。

「ほんと、あちこちでするよね」
「秋よね~」

当たり前のことを堂々と言ってみた。
恥ずかしいくらいに。

「だよね~」

友人もすかさず返してくる。
当たり前のことを。

「でもこれだけ印象が強いのに」
「匂いがしなくなると・・・」

気付けばその存在を忘れてしまう。
そんな花木が存在していることを・・・。

「確かに・・・」
「今時期しか意識しないね」

そう考えると不憫にも思えてくる。
存在しているのに気にもされないなんて。

(No.1141-2へ続く)

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