[No.1138-2]耐え難い雰囲気
No.1138-2
「ちょうど放送してたし」
「釣り好きな友達もいたからさ」
もちろん、この時は選ばれないと思っていた。
だから、口にすることもできた。
「この流れからすると・・・」
「そう!選ばれちゃったんだよ」
なぜかこの歌に票が集まった。
今思えば、何でもいいから・・・みたいな感じもあった。
「けど、いざ決まると・・・色々と面倒なことが」
「面倒?」
練習するにも音源が必要だ。
今のようにネットで簡単に聴ける時代じゃなかった。
「決まった時には“歌ってみろよ”と言われるし」
結局、音源も用意できず、この企画自体、流れた。
「流れた?」
「実現しなかったの?」
そういうことになる。
先生が気を利かせて、ボツにしたと思っている。
「あまりにも耐え難い雰囲気だったからさ」
「だろうね」
団結するどころか、亀裂が入りそうだった。
つまり、企画自体に乗り気じゃなかったのだ。
「それなのに、調子に乗っちゃって」
たったこれだけのことなのに今でも覚えている。
「二度とこんな経験はゴメンだ!とおもった」
「・・・だけど」
高校生の時に、また同じような失敗を繰り返してしまった。
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