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2022年10月

[No.1144-2]ペラペラ

No.1144-2

「布?」
「そんなベルトあるの?男性用で」

その言い方だと女性用はあるみたいだ。

「そりゃそうよ!」

僕が言う布とは多分、違う。
早い話、ショルダーバックのあの紐の部分に近い。

「ほら、平たい布というか・・・」
「・・・何となく分かる」

つまり、その部分の素材と同じようなベルトだ。

「よくそこまで言い切れるわね?」
「そりゃそうさ!」

懐かしさの理由がそこにあるからだ。

「そこにある?」
「だって、少なくても中学生まではそれだったから」

高校生はどうだったか、ハッキリとは覚えていない。
高校生の時も、そのベルトだったような・・・。

「当時は何も感じなかったけど」
「今、見るとさぁ・・・」

そのチープ感とそして、幼さが同居している。
それに、ペラペラなのだ。

「ペラペラ?」
「なにそれ?」

それはそのベルトを付けた者しか分からない。
一言で言えば、はみ出した部分が・・・。

「ペラペラはペラペラなの!」

あえてそれには答えないでおこう。
もう少し、余韻を楽しむために。

(No.11440完)
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[No.1144-1]ペラペラ

No.1144-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
久しぶりにそれを見掛けた。
そのチープ感が懐かしい。

「なにニヤニヤしてるのよ?」
「えっ!僕のこと?」

返事がなくても顔がそう言っているのが分かる。

「ごめん、ごめん!」
「つい、思い出し笑いと言うか・・・」

懐かしさのあまり、表情が緩んでいたらしい。
決してニヤけていたわけではない。

「美人でも居たの?」
「また、それを言う・・・」

でも、前科があるから仕方がない。
ここは大人しく引き下がろう。

「さっき、おじさんが横切っただろ?」
「ぶつかりそうになった人ね」

そのおじさんがベルトをしていた。
そのベルトが・・・。

「ベルト?」
「そりゃ、してるでしょ?」

注目すべき点はベルトそのものだ。
もっと言えば、ベルトの素材だ。

「素材?」
「普通、皮とかじゃないの?」

そう、一般的には皮だ。
それが天然か合成かは置いといて。

「何て表現すればいいのかな?」
「布と言えばいいのか・・・」

表現が難しい。

(No.1144-2へ続く)

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[No.1143-2]別格の存在

No.1143-2

「違う?」
「じゃあ、誰が来るのよ?」

孫である可能性は大きい。
でも、どうしても俺にはそう見えない。

「多分、息子さんだな」
「自分の子供ってこと?」

別に根拠があるわけじゃない。
けど、俺には伝わってくるものがある。

「そうだよ」
「息子さんね・・・」

納得いかない様子だ。

「普通、孫でしょ!?」
「いや、息子だよ」

俺には分かる。
いや、俺だから分かる。

「何でさ?」
「経験があるからだよ」

当たり前だが、俺も息子だ。

「たまに実家に帰ると」
「・・・そういうことね」

もちろん、孫が来ても嬉しいとは思う。
けど、息子は別格の存在なんだ。

(No.1143完)
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[No.1143-1]別格の存在

No.1143-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「すごい量を買うね」
「確かに」

肉屋でのワンシーンだ。
お婆さんが相当量の肉を買っている。

「一人で・・・」
「な、わけないだろ!?」

一応、彼女のフリに付き合ってみた。
本気じゃないのは分かっているが。

「誰か来るのね、家に」
「だろうな」

夫婦で食べるにしても多すぎる。
とても二人で食べきれる量じゃない。

「それに、肉屋だし」

肉屋で肉を買う。
当たり前だけど当たり前じゃない。

「俺たちは記念日だけどな」

そう・・・大袈裟だけど特別感がある。
つまり、誰か特別な人が来ると言うことだ。

「と、なればお孫さんね!」
「・・・」

確かにそう考えるのが自然だ。
けど、俺は違うと思う。

(No.1143-2へ続く)

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ホタル通信 No.512

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.570 ひとりぼっちのブランコ
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

ブランコの横にある日、小さな山が出来ました。遊ぶためにできたものなのか、理由は不明なままでした。

さて、その小山を利用した遊びは事実です。山の高さは1.5メートルくらいでしょうか?数名が登って遊べる程度の山でした。
その山から車の古タイヤをブランコに乗っている人にめがけて勢いよく転がします。それを皆が避ける・・・これが遊びでした。ブランコの真横からタイヤが転がってきますから、小山に近い人は避けるのが大変でしたね。でも、これがスリリングで、喜びの悲鳴がよく聞こえたものです。
後半はほぼ創作です。転校生や同窓会の帰りも事実ではありません。前半の勢いでそのまま後半を続け、実話度100%で行こうかと考えていましたが、前半でネタが尽きて、仕方なく、いつもの恋愛系に仕立てたように記憶しています。

今でもあの時の興奮を覚えています。
古タイヤも乗用車の物もあれば、大型トラックの物もありましたから、大型トラックのタイヤが転がってきた時には、まぁ盛り上がること盛り上がることw今では絶対、出来ないでしょうね、こんな遊び。
当時、幸いにしてケガ人がでることはありませんでしたが、遊んでケガをしたところで、良い意味で親も無関心でしたから。

ホタル通信を書きながら、少しノスタルジックな気分になってしまった作者でした。

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[No.1142-2]だよね?

No.1142-2

(・・・どうして)

再度、記事を読み直して見た。
でも、何度見てもその事実が変わるものではない。

「・・・あっ」
「えっ!?」

思わず驚きの声が出てしまった。
記事の内容以外にあることに気付いたからだ。

「何だよ、この日付・・・」

つい“日付”に八つ当たりしてしまった。
なんと、この記事は二年も前の記事だった。

(そんな・・・)

すでに二年前に退社していた可能性がある。
そのことを全く知らずにいた。

「一言あっても・・・」

その矛先が彼女に向いてしまった。
多少なりとも交流があった仲だったこともある。

(いやいや・・・違う!)
(なに考えてるんだ、俺!)

俺に報告する義務も必要もない。
それは彼女なりの去り方だったのだろう。

「そっか・・・辞めたんだ・・・」

ようやく落ち着いて考えることができるようになった。
それまで冷静さを失っていたからだ。

「まぁ、彼女ならなんとかなるさ」
「だよね?」

(No.1142完)
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[No.1142-1]だよね?

No.1142-1

登場人物
男性=牽引役
-----------------------------
「ん?」

イントラネットで気になる記事を見つけた。
ある部門の統廃合の記事だ。

(・・・まさか)

そこには以前、一緒に仕事をしたことがある女性が居る。
統廃合となれば、少なくともどこかの部門が消える。

「ちょ、ちょっと待てよ!」

思わず大きめの声が出てしまった。
急いで、その情報を詳しく見てみると・・・。

「うそだろ・・・」

消えたのは彼女が所属していた部門だ。
でも、普通なら、それほど驚きはしない。

(彼女の場合は・・・)

一般的には部門は消えても人は消えない。
異動という形をとるからだ。

「居てくれよ・・・」

急いで彼女の名前を社内の電話帳で検索する。
結果は・・・。

「・・・居ない」

珍しい苗字だから見落としようがない。
つまり、退社したことになる。

「・・・マジかよ!」

つい、はき捨てるように口走ってしまった。
でも、その事実よりも上を行く事実が待っていた。

(No.1142-2へ続く)

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[No.1141-2]金木犀のころ

No.1141-2

「匂いは印象的だけど花は・・・ね」

鮮やかだけど小さい。
花と言うより、小さな実のように見える。

「地味と言うか、控えめと言うか・・」

だから、パッと見で金木犀だと気付かない。
それがキョロキョロする原因でもある。

「でもこの匂いを嗅ぐと色々思い出すの」
「色々?」

何かの出来事を具体的に思い出すのではない。
説明が難しいが、何かモヤモヤしてくる。

「不鮮明だけど確実に」
「それ、確かに説明が難しいわw」

だから今時期はやや気持ちが不安定になる。
この匂いでこうなる人はそう居ないだろう。

「そうでもないよ?」
「・・・まさか、あなたも・・・」

友人が小さくうなづく。

「何年の付き合いになるのよ、私たち?」

楽しいことも辛いことも共有してきたことを忘れていた。

(No.1141完)
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[No.1141-1]金木犀のころ

No.1141-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今時期は、あちこちでこの匂いを嗅ぐことになる。
とは言え、少しキョロキョロしないと見つからない。

「また、この匂いの季節になったね」

だからと言って何がどうなるわけでもない。
季節の巡りをただ感じているだけだ。

「ほんと、あちこちでするよね」
「秋よね~」

当たり前のことを堂々と言ってみた。
恥ずかしいくらいに。

「だよね~」

友人もすかさず返してくる。
当たり前のことを。

「でもこれだけ印象が強いのに」
「匂いがしなくなると・・・」

気付けばその存在を忘れてしまう。
そんな花木が存在していることを・・・。

「確かに・・・」
「今時期しか意識しないね」

そう考えると不憫にも思えてくる。
存在しているのに気にもされないなんて。

(No.1141-2へ続く)

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ホタル通信 No.511

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.580 それがモチベーション
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

この小説ほどではありませんが、会社に居ると度々、モチベーションが話題になります。

モチベーションを上げるきっかけは人それぞれです。報酬の人もいれば、重要な仕事を任される、という人も居ます。ただ、正直なところ、毎日、モチベーションが上がったまま仕事をしているかと言われると、決してそうではありません。
むしろ、下がっていることの方が多いと感じています。良いこともあれば悪いこともあるわけですから、モチベーションもそれに呼応しながら、上がったり下がったりしています。

話は戻りますが、実際、社内で「モチベーションを上げるには?」のような課題があり、その関係者だったことが小説のきっかけです。
とは言え、簡単そうで難しいのがこのモチベーションです。結局いつもの通り、うやむやになって、時間の経過とともに立ち消えになりました。小説のラスト付近に、アイデア対決の話がありますが、個人的にはこのようなことがモチベーションになると考えています。簡単に言えばライバルなんでしょうが、別に自分がライバルでも構いません。
例えば、何らかの資格を取得する場合、取得が目標であっても、色々な誘惑に負けずに勉強を続けていくことを考えると、自分に勝つことが大切です。

そういう意味では、私の最近のモチベーションは決して良い状態ではありませんが、こうして小説を書き続けること自体がひとつのモチベーションになっていると思っています。

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[No.1140-2]小さな虫

No.1140-2

「さっき、最初は小さかった・・・って言ったよね?」
「そう!私も気になってたの」

もちろん、エサがなくても大きくはなれると思う。
人間ほどやわじゃないと思うから。

「でも、1ヶ月も飲まず食わずじゃ・・・」
「確かにそうよね」

やつが何をエサにしているかは知らない。
でも、食べ物のカスくらいなら床に落ちている。

「それを食べてるかもしれない」
「あははwかもね!」

真相はさておき、成長はしている。
それが嬉しくもある。

「よくそんな感情がわくわね?」
「だよね、ほんと不思議」

気持ち悪い存在でしかないのに、愛情さえ感じる。
何が私をそうさせているのか分からないが。

「このまま育てるつもり?」
「うん!放任主義だけどw」

まさか、エサを与えるわけにもいかない。
それには手を加えないつもりだ。

「今まで何とかなってきたし」
「これからもそうなんじゃないの?」

とは言いつつも、気にはなる。

「どうするの?巨大化したら?」
「その時はその時よ!」

外に出したっていい、もともとそうなんだし。

「それはそうと・・・ムカデって虫じゃないよ」

(No.1140完)
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[No.1140-1]小さな虫

No.1140-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
1ヶ月くらい前からだろうか・・・。
一匹の虫が顔を出すようになった。

「何の虫?」
「ムカデの小さいやつみたいな」

体長は1.5cm位で、クネクネ動く。
ムカデのような脚がある・・・ように見える。

「1.5cmでしょ?それに目が悪いから」

だから雰囲気でそう決めた。
ムカデみたいなやつと。

「どこに居るのさ、今は?」
「今も昔もトイレに」

最初はもう少し小さかったと思う。
用を足している私の視界にそれが入ってきた。

「・・・やけに冷静ね」
「普通、キャー!とかならない?」

確かにその通りだと思う。
実際、全般的に虫は嫌いだ。

「ならどうして?」
「何でだろう・・・自分でも不思議に思ってる」

それほど大きくなかったからかもしれない。

「で、目を離した隙に居なくなって」

でも、時々、顔を現す。
出会うのはいつもトイレの中だ。

「トイレがすみかなのかしら?」
「さぁ・・・どうだか」

別に閉じ込められているわけではないだろう。
ドアの隙間から出入りできる大きさだし。

(No.1140-2へ続く)

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[No.1139-2]時代

No.1139-2

「アップハンドルが流行ってさ」
「ほら、これだよ」

検索した画像をみせた。
言葉だけでは伝わらないからだ。

「・・・これって」
「見たことあるだろ?」

ハンドルが異様に上に伸びている。
長ければ長いほどカッコいいとされていた。

「今、振り返ると恥ずかしいけどな」
「運転できるの?!」

運転は辛うじてできる。
実用性は度外視だった。

「まぁ、何とか」

これが当時のワル・・・の象徴のひとつでもあった。

「ワル・・・ねぇw」
「笑うなよw」

俺自身も笑っている。
いや、笑わずにはいられない。

「でもさぁ、いい時代だったな」

今の時代とは違う何かが確かにあった。

(No.1139完)
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[No.1139-1]時代

No.1139-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
中学生の頃だった。
男子の間で、急にそれが流行りだした。

「急に?」
「思春期ってことも関係してたかもな」

不良に憧れる・・・一度は通る道だと思う。
そんな時代背景もあったし。

「何なのそれ?」
「ハンドルだよ」

彼女がキョトンとしている。
無理もないだろう。

「ハンドル・・・えっ!ハンドル!?」
「自動車の・・・じゃないぞ」

念のため、先に言っておいた。

「じゃあ、何の?」
「自転車に決まってるだろ?」

それでも表情が冴えない。
色々な疑問が頭を駆け巡っているに違いない。

「なんでハンドルが流行るのさ?」
「ハンドルに流行ってあるわけ?」

もっともな質問だ。
逆の立場ならそうするからだ。

(No.1139-2へ続く)

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ホタル通信 No.510

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.466 鼻をすする
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:男性

あらためて読み返し、思わず「なるほど!」と声を出してしまいました。それほど大した小説ではありませんが。

小説のタイトルにもなっている「鼻をすする」に関する流れですが、鼻をすすっていたのは事実ですが、これ以外はほぼ創作です。
確かに、悲しい涙・・・いわゆるすすり泣きではありましたがその対象は映画ではありません。ただ、その時の印象が強く残ったため、これを軸に小説を書き上げました。

さて、後半ですが、あれから数日が経過しています。
で、冒頭に「なるほど!」と声が出たのは、まさしくラストのセリフです。恥ずかしながら自分で作っておきながら、意味不明(思い出せない)なラストを迎えることも多い中で、これはすぐにピンときました。
さっさと結論を言えば、うれし涙ゆえの鼻をすするというわけです。前半とは対照的な仕上げになっています、偶然にもw

まぁ、設定としては「プロポーズをされた」でしょうね。関係性からすでに恋人同士だったでしょうから。何かおかしいですね、自分の小説を自分で分析するのも。

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[No.1138-2]耐え難い雰囲気

No.1138-2

「ちょうど放送してたし」
「釣り好きな友達もいたからさ」

もちろん、この時は選ばれないと思っていた。
だから、口にすることもできた。

「この流れからすると・・・」
「そう!選ばれちゃったんだよ」

なぜかこの歌に票が集まった。
今思えば、何でもいいから・・・みたいな感じもあった。

「けど、いざ決まると・・・色々と面倒なことが」
「面倒?」

練習するにも音源が必要だ。
今のようにネットで簡単に聴ける時代じゃなかった。

「決まった時には“歌ってみろよ”と言われるし」

結局、音源も用意できず、この企画自体、流れた。

「流れた?」
「実現しなかったの?」

そういうことになる。
先生が気を利かせて、ボツにしたと思っている。

「あまりにも耐え難い雰囲気だったからさ」
「だろうね」

団結するどころか、亀裂が入りそうだった。
つまり、企画自体に乗り気じゃなかったのだ。

「それなのに、調子に乗っちゃって」

たったこれだけのことなのに今でも覚えている。

「二度とこんな経験はゴメンだ!とおもった」
「・・・だけど」

高校生の時に、また同じような失敗を繰り返してしまった。

(No.1138完)
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[No.1138-1]耐え難い雰囲気

No.1138-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
一言で表せば調子に乗りすぎた結果だ。
そんなことが何度かあった。

「そんなキャラだったの?」
「まぁ、学生時代はね」

中学生の時だった。
クラスの歌を決めることになった。

「クラスの歌?なにそれ」
「はっきりとは覚えてないんだけど」

少なくとも文化祭とかの話ではない。
確かホームルームで歌うとか何とか・・・。

「そもそも何でそうなったのかは覚えてない」
「その後の印象が強すぎて」

団結力を強めるため・・・だったような気がしている。
当時の担任がそんな感じの先生だったからだ。

「団結力ねぇ~」
「で、“その後”ってなに?」

そう、そこが話題の中心だ。

「その歌を決めるにあたって」
「何の歌がいいか、決めることになったんだ」

ごく当たり前の流れだと思う。

「色々候補が出たんだけど」
「僕が、とあるアニメの主題歌を候補にあげたんだよ」

マイナーではないが、人を選ぶアニメだった。
あえて名前は伏せておくが。

「釣りが好きな人ならすぐ分かるよ」
「ふ~ん」

もちろん、ふざけて口にしたわけじゃない。
でも、真剣だったか?と聞かれると自信はない。

(No.1138-2へ続く)

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[No.1137-2]子供のように

No.1137-2

「聞こえない?」
「・・・なるほどね!」

濡れるのを通り過ぎて雨が中に侵入している。
その影響で靴が“キュキュ”と独特の音がする。

「音もそうだけどなんかこう・・・変な感じ」
「分かるよ、それ、だって・・・」

友達がそれについて話し始めた。

「私なんか、もっと凄いわよ」
「自ら水たまりに足を突っ込んでいたからね」

容姿からは想像できないエピソードだ。
そんなキャラだったとは・・・。

「まぁ、母にはかなり怒られたけどね」
「そりゃそうよ!」

それはそうとして今は靴が派手に濡れ機嫌が悪い。

「仕方ないわね、付き合ってあげる」
「えっ!?」

そう言うと、近くの水たまりに足を突っ込んだ。

「ちょ、ちょっと・・・」
「あなた、クロックスじゃん・・・」

(No.1137完)
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