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[No.1136-1]流され橋

No.1136-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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通称“流され橋”
そう呼ばれていたことを随分と後から知った。

「なにそれ?」
「その言葉通りよ」

台風の季節になると思い出す。
その橋のことを。

「流される橋?」
「うん、流されちゃうの、台風の時とかに」

実家のすぐそばを大きな川が流れている。
昔、そこに木造の橋が架かっていた。

「えっ!?木なの?」
「そう、全部、木」

人や自転車がかろうじて通れる橋だった。
極端に言えば、単なる板が置いてある感じだ。

「柵も手すりもなくてさぁ」
「子供心に怖い橋だったな」

ある意味、知る人ぞ知る橋だった。
地元のごく一部の人しか利用していなかった。

「なんだか、おっかなそうだね」
「ほんと、そうよ」

できれば使いたくない橋だった。
でも、そうも言ってられない事情もあった、

「事情?」
「うん、対岸に行こうとしたら・・・」

その橋を使えば、数分程度で行ける。
でも、使わなかったら・・・。

(No.1136-2へ続く)

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