[No.1131-2]今でも覚えてる
No.1131-2
「だから、最初に話した店から」
「足が遠のいて・・・」
気づけば新しい店に入り浸りだった。
それは他の子供たちも同じだった。
「だから、危機が?」
「そう・・・」
でも、その店は小さいながらスーパーだ。
品揃えは少ないものの生鮮食品も売っていた。
「だから駄菓子程度なら大丈夫だと」
「そもそも、子供が使う金額なんて知れてるし」
そう自分に言い聞かせていた。
ある意味、子供は残酷だ。
「確かにそうよね・・・じゃあ、何で?」
「少し離れた場所にスーパーが・・・」
今でいう、小型のショッピングモールができた。
そのため、客は一気にそこに流れた。
「だから・・・か」
「あぁ」
それから、程なくして店を畳んだらしい。
「あれだけお世話になっていながら」
「酷いやつだろ?僕って」
皮肉なことに新しい駄菓子屋も店を畳んだ。
理由はおそらく同じだろう。
「何だか、バチが当たった気分だったよ」
やがて中学生になり、高校生になり・・・。
その店は取り壊され、跡形も無くなった。
「でも今でもうっすら覚えている」
「店のおばちゃんの顔を」
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