[No.1132-1]さつまいも
No.1131-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「さつまいも、好きね」
「いや、別に・・・」
さつまいもの天ぷらを選んだのにこのセリフだ。
自分でも変だということは承知している。
「好きだから選んだんじゃないの?」
「それはそうだけど・・・」
確かに嫌いではない。
でも、それほど好きでもない。
「だったら他を選んだら?」
「いっぱい種類があるわけだし」
ナス、かき揚げ、ちくわ・・・好物が並んでいる。
「そうなんだけど」
「つい・・・」
言わば習慣だ。
それを選ばずにはいられない。
「子供の頃、さつまいもを作ってたんだ」
「農家・・・じゃなかったよね?」
農家じゃない。
それなりに大きな畑を借りてそこで作っていた。
「だからことあるごとに」
「さつまいもが・・・」
蒸したり、煮たり、そして揚げたり・・・。
特にさつまいもの天ぷらは我が家の定番だった。
「だから?」
「そうだな」
無意識に手が伸びてしまう。
さつまいもは我が家そのものだった。
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