« [No.1126-1]南北が羨ましい | トップページ | ホタル通信 No.504 »

[No.1126-2]南北が羨ましい

No.1126-2

「もう!いじわるね」
「ごめん、ごめん!」

言葉の割には悪びれた様子もない。

「言わば東日ってことでしょ?」
「そうよ」

それだけじゃない。
朝、東に向かうなら、帰りは西に向かう。

「なるほど・・・帰りは西日ね」
「そう!だから、行き帰りが・・・」

いやがおうでも、陽を浴びてしまう。
それも真正面から。

「南北には移動しないの?」
「ゼロじゃないけど・・・」

幸か不幸か、大きな道をまっすぐ東に進む。
すると学校に着いてしまう。

「南北には数メートル進むだけ」
「それは大変!」

でも、その顔は笑ってる。
いつもこうだ。

「心配してないでしょ?」
「陽を浴びるのも重要なのよ、陽の光はね・・・」

ここぞと言わんばかりに雑学を放り込んできた。
その言葉だけで、また汗をかいてしまいそうだ。

「もう、いいわよ・・・」
「あら、そう?」

とにかく、汗を拭いて休みたい。
あー、南北の人が羨ましい。

(No.1126完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.1126-1]南北が羨ましい | トップページ | ホタル通信 No.504 »

(046)小説No.1126~1150」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1126-1]南北が羨ましい | トップページ | ホタル通信 No.504 »