[No.1126-2]南北が羨ましい
No.1126-2
「もう!いじわるね」
「ごめん、ごめん!」
言葉の割には悪びれた様子もない。
「言わば東日ってことでしょ?」
「そうよ」
それだけじゃない。
朝、東に向かうなら、帰りは西に向かう。
「なるほど・・・帰りは西日ね」
「そう!だから、行き帰りが・・・」
いやがおうでも、陽を浴びてしまう。
それも真正面から。
「南北には移動しないの?」
「ゼロじゃないけど・・・」
幸か不幸か、大きな道をまっすぐ東に進む。
すると学校に着いてしまう。
「南北には数メートル進むだけ」
「それは大変!」
でも、その顔は笑ってる。
いつもこうだ。
「心配してないでしょ?」
「陽を浴びるのも重要なのよ、陽の光はね・・・」
ここぞと言わんばかりに雑学を放り込んできた。
その言葉だけで、また汗をかいてしまいそうだ。
「もう、いいわよ・・・」
「あら、そう?」
とにかく、汗を拭いて休みたい。
あー、南北の人が羨ましい。
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