[No.1128-2]浴衣が似合う頃
No.1128-2
「着こなしている?」
「まるでおしゃれリーダーみたいな口ぶりねw」
確かに指摘された通りだ。
普通の洋服だとこうはいかない。
「お腹出てて良かったねw」
「ストレートに・・・言うなよ、当たってるけど」
そう・・・浴衣は体型が大きく関係する。
スタイルが良いほど損をする、すれ違った高校生のように。
「でも、似合わない浴衣って・・・」
「青春だと思わないか?」
甘酸っぱい青春時代に、ポッコリお腹は似合わない。
逆に言えば、似合わない浴衣は青春の象徴とも言える。
「そう考えると急に羨ましくなってきたよ」
「あははwかもね」
振り返れば、俺もそうだった。
似合わない浴衣を着て、花火大会に出掛けたことがあった。
「似合わない時代があったんだw」
「知ってるだろ!?」
着慣れない浴衣、はき慣れない下駄。
そこに来て、つなぐ彼女の手からは緊張感が伝わってきた。
「なにひとりで青春してるのよ!」
「さぁ、行くわよ!」
いまじゃ、俺より力強いけどね。
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