[No.1124-2]セミの夢
No.1124-2
「夢の中?ついにそこまで来たのね!」
「それ、褒めてるのw」
今年は夢に出てきた。
それでもやっぱり、セミの足取りは重かった。
「夢でも?」
「うん、息も絶え絶えって感じで」
それは去年も一昨年もそうだった。
現実世界において。
「なんだかんだ言って気にしてるのね?」
「そう言うつもりはないんだけどね」
とは言え、夢にまで出てきてしまった。
「セミに好かれてるわね、随分w」
「それは否定しないw」
もしかしたら明日にでも目の前に現れるかもしれない。
いつも通り、壁にくっついて・・・。
「たかがセミだけど切ない気持ちになるのよ」
「分かってるわよ」
まさに命の火が消えようとしている瞬間に立ち会う。
でも、何も人前で消える必要はない。
「せめて、土にかえしてあげたくて」
「・・・だね」
今年は現れるのだろうか?
どちらにせよ、精一杯、夏を生きればいい。
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