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2022年8月

[No.1129-1]賞味期限

No.1129-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ある時を境にして、劇的に変わった。
その“ある時”は覚えていないが。

「何なの?その変わったやつ」
「聞いて驚かないでよ!」

自分でハードルを上げ過ぎたかもしれない。
こんな時は、たいていつまらない話が多い。

「賞味期限よ!」
「・・・」

友人が驚きのあまり絶句している。
いや・・・よく見ると呆れた表情をしている。

「賞味期限って、あの?」
「“あの”以外に他にある?」

別に説明することもないが、食品のアレだ。

「私ね、1日でも賞味期限が切れたら」
「途端に食べれなくなる人だったの」

それこそ1秒でも過ぎれば廃棄する。
もはや私には、それがゴミにしか見えないからだ。

「極端ね・・・」
「振り返ると、私もそう思う」

それが、ある時を境にして、そう思わなくなった。

「さっき言ったように」
「“ある時”は覚えてないけどねw」

本当に劇的に変わった。
自分でも信じられないくらいに。

(No.1129-2へ続く)

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ホタル通信 No.505

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.452 カウントダウン
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

嘘のような本当のような、事実と創作が適度に入り乱れた小説です。

まず、誕生日の日付に注目してみましょう。実は、この5月17日は誕生日ではなく、とある別の記念日です。“とある”とは書きましたが、ぶっちゃけ結婚記念日です、私のw。本当に彼の誕生日を書いたとて、人物が特定されるわけでもなく何も支障はないのですが、小説の都合もあり、私の結婚記念日で代用させてもらいました。

さて、次にブログパーツですが、わりと最近まで設置はしていました。随分前から機能はしていませんでしたが。
実際に記念日を設定し、動作したのは1度だけだったような気がしていますが、見た目の雰囲気やイベント性があるパーツだっただけに、大袈裟ですが感慨深いものがあります。
当時、ブログを華やかに見せるために、ブログパーツを色々と探している最中に見つけました。
話は反れますが、最近はブログパーツ自体、流行っていないと言いますか、必要とされていないようですね。そもそもブログ自体、昨今のSNSにおされ、陰が薄くなっている気がします。

最後に彼と付き合った長さも事実なんです。誕生日を過ぎた頃、付き合い始め、誕生日を前に別れました。そんなこんながありながらも、ラストは明るめで終われてなによりです。でも、この部分は創作ですけどねw

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[No.1128-2]浴衣が似合う頃

No.1128-2

「着こなしている?」
「まるでおしゃれリーダーみたいな口ぶりねw」

確かに指摘された通りだ。
普通の洋服だとこうはいかない。

「お腹出てて良かったねw」
「ストレートに・・・言うなよ、当たってるけど」

そう・・・浴衣は体型が大きく関係する。
スタイルが良いほど損をする、すれ違った高校生のように。

「でも、似合わない浴衣って・・・」
「青春だと思わないか?」

甘酸っぱい青春時代に、ポッコリお腹は似合わない。
逆に言えば、似合わない浴衣は青春の象徴とも言える。

「そう考えると急に羨ましくなってきたよ」
「あははwかもね」

振り返れば、俺もそうだった。
似合わない浴衣を着て、花火大会に出掛けたことがあった。

「似合わない時代があったんだw」
「知ってるだろ!?」

着慣れない浴衣、はき慣れない下駄。
そこに来て、つなぐ彼女の手からは緊張感が伝わってきた。

「なにひとりで青春してるのよ!」
「さぁ、行くわよ!」

いまじゃ、俺より力強いけどね。

(No.1128完)
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[No.1128-1]浴衣が似合う頃

No.1128-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・似合ってないよな?」
「仕方ないわよ」

高校生らしきカップルとすれ違った。
二人とも浴衣だった。

「男性の方だろ?」
「もちろん!」

最近の若者はスタイルがいい。
いや・・・良すぎると言ってもいいくらいだ。

「女の子は似合ってたよ」
「柄もその子の雰囲気に合ってたし」

女性は色々な服装を着慣れているとも言える。
その違いも出ているのだろう。

「やっぱり、貫禄が・・・」

もちろん、精神的な面のことでもある。
でも、今はそれよりも、身体的な面のことだ。

「そうよね」
「ブカブカというか・・・」

体にフィットしていない。
特に胸元からお腹にかけて。

「どうしても貧弱に見えちゃうよね」
「だろうな」

その点、俺は全く問題がない。
見事なまでに浴衣を着こなしている。

(No.1128-2へ続く)

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[No.1127-2]私は一軍

No.1127-2

「一軍の一番をゲット!」

つまり、先頭だと言うことだ。
普通に、そう言えばいいのにと思う。

「やっぱり、一軍じゃないとね!」
「さっきも言ったけど、後1時間以上あるんだよ?」

彼女と出掛けるとこんなことが多い。
せっかちと言うか、負けず嫌いと言うか・・・。

「1時間なんてアッと言う間よ!」
「そうかなぁ・・・」

僕にとっては長い1時間だ。
反面、彼女は満足げな表情をしている。

「ほんと、好きだよな」
「別に誰にも迷惑を掛けていないでしょ?」

確かに割り込んだり、誰かを押しのけてはいない。
それに、早いと言っても常識的な時間だ。

「まぁ、それはそうだな」
「でしょ~!」

まぁ、一種の趣味だと思えばいい。
“先頭をゲットしたい”趣味だと。

「それにしても急いで来たから汗だくだよ」
「私も!」

一軍か・・・悪くない表現だ。
楽しい日々が続く予感しかない。

(No.1127完)
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[No.1127-1]私は一軍

No.1127-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「そう急ぐなよ・・・」
「ダメなの!」

最近、彼女からある言葉を耳にするようになった。
その使い方が何とも個性的だ。

「開店までに後1時間以上もあるんだよ?」
「一軍がいいの!」

その言葉とは、“一軍”だ。
半年くらい前から言い始めたと思う。

「大丈夫だよ、ほら、誰も並んでいないだろ?」

有名ラーメン店が視界に入る。
幸い、まだ誰も並んではいない。

「ほんとだ!急ぐわよ!」
「俺の話、聞いてる?」

誰も並んでいないなら急ぐ必要もない。
仮に並んだとしても、余裕の順番だ。

「一軍の一番がいいの!」
「はいはい・・・」

彼女曰く、並んで食べるのは苦にならないらしい。
けど、列の後ろに並ぶのは嫌らしい。

「はぁ、はぁ・・・着いた!」
「息・・・切れ・・・てる・・・じゃん・・・」

一応、僕も負けじと音を追う。
だから、息も絶え絶えだ。

(No.1127-2へ続く)

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ホタル通信 No.504

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.450 ハトのフン
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

ハトのフンを落とされたのは事実です。この小説以外でも何度か落とされたことがありますがw

さて、本当に「ハトのフンが落ちてくる」予感がして、警戒をしていたものの、残念ながら完全に避けることができませんでした。
この予感が余りにも印象的だったので、こうして小説に仕立てたわけです。これが神秘的なものなのか、単に経験からくる予測だったのかは分かりませんが、言わば虫の知らせのようなものを感じました、大袈裟ですが。

話を適当に展開している途中で、“先が見える”というキーワードから、オチが自然に浮かび、コミカルに締めくくることにしました。タイトルがハトのフンですからねw
何度か記事にしていますが、当ブログには何度もハトが登場します。ただ、その時々で、扱いが変わります。とぼけた存在の時もあれば、ひとりぼっちの象徴だった時もありましたね。

最近では近所の公園でランチしている時、ハトが寄ってきます。もちろん、目当ては“ランチ”なんでしょうが、それだけでもないような気がしています。

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[No.1126-2]南北が羨ましい

No.1126-2

「もう!いじわるね」
「ごめん、ごめん!」

言葉の割には悪びれた様子もない。

「言わば東日ってことでしょ?」
「そうよ」

それだけじゃない。
朝、東に向かうなら、帰りは西に向かう。

「なるほど・・・帰りは西日ね」
「そう!だから、行き帰りが・・・」

いやがおうでも、陽を浴びてしまう。
それも真正面から。

「南北には移動しないの?」
「ゼロじゃないけど・・・」

幸か不幸か、大きな道をまっすぐ東に進む。
すると学校に着いてしまう。

「南北には数メートル進むだけ」
「それは大変!」

でも、その顔は笑ってる。
いつもこうだ。

「心配してないでしょ?」
「陽を浴びるのも重要なのよ、陽の光はね・・・」

ここぞと言わんばかりに雑学を放り込んできた。
その言葉だけで、また汗をかいてしまいそうだ。

「もう、いいわよ・・・」
「あら、そう?」

とにかく、汗を拭いて休みたい。
あー、南北の人が羨ましい。

(No.1126完)
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[No.1126-1]南北が羨ましい

No.1126-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「おはよう・・・」
「どうしたの?元気ないじゃん」

そりゃ元気もなくなる。
この暑さなら。

「そう?今日は昨日ほどじゃないよ」
「それは電車組みのセリフ!」

残念ながら私は自転車通学だ。
だから、夏の日差しをもろに浴びてしまう。

「それでも朝は涼しいでしょ?」
「まぁ、聞きなよ」

なかなか私の辛さを分かってくれない。
単なる日差しの問題ではない。

「大袈裟ね」
「ほんとに大変なのよ!?」

自宅から見ると学校はほぼ東に位置している。
それが問題だ。

「・・・どんな?」
「ピンときなさいよ!」

朝、学校に向かう姿を想像したら予想が付く。

「あなたの必死の形相しか思い浮かばないわ」
「寝坊ばかりしてるもんね」

話が脱線し始めた。
早めに話を戻した方が良さそうだ。

「じゃなくて、東に向かって自転車漕いでるんだよ?」
「太陽に向かって・・・と言いたいんでしょ?」

最初から分かっていたようだ。
ちょっと遊ばれたらしい。

(No.1126-2へ続く)

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[No.1125-2]不思議の原点

No.1125-2

「何なのこの話?」
「間違いなく記憶はあるんだよね」

でも、ホールはなかったはずだ。
繰り返しになるが。

「私もそう思う・・・ホールはなかった」
「知らなかっただけかもしれないけど」

一体、この記憶はどこから来たのだろうか・・・。

「さっき、記憶が交錯してる・・・って言ったよね?」
「もしかしてリアルな夢とか?」

確かにその可能性がある。
現実と区別がつかないほどリアルな夢を見る時がある。

「でも・・・夢にしては普通過ぎて」
「普通?」

支離滅裂なのが夢だ。
それが一切なく、現実世界と何ら変わりがない。

「それを夢とはとても・・・」
「う~ん・・・」

だからいつまでたっても答えが見つからない。
だから余計に気になる。

「じゃあ、行ってみる?」
「まさか、学校に!?」

悪くない提案だ。
でも、どうやって・・・。

「簡単に入れないでしょ?卒業生でも」
「確か・・・来週、アレがあるよね?」

なるほど・・・肝心なことを忘れていた。
不思議の原点とも言える文化祭があることを。

(No.1125完)
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[No.1125-1]不思議の原点

No.1125-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
今でも不思議に思っていることがある。

「あのさぁ、覚えてる?」
「なによ、唐突に・・・」

高校生の時、音楽鑑賞部に在籍していた。
文字通り、弾くのではなく、聴くだけの部活だった。

「それは知ってる」
「私も入ろうかな?って考えてたから」

普段は教室で音楽を聴いていた。
でも、文化祭のときだけは違った。

「ホールというか、大学の教室のような場所で」

生徒が座るエリアが階段状になっているアレだ。

「ちょ、ちょっと待って!」
「うちの学校に、そんな場所あったっけ?」

そう・・・不思議に思っているところはそこだ。
音楽を聴いている記憶はあるけどホールの記憶はない。

「えっ・・・どういうこと?」
「ややこしくてごめん・・・」

そこで聞いた曲名もアーティストも覚えている。
場所も覚えている。

「ますます分かんない!」
「私もw」

話を戻すと、通っていた学校にホールらしきものはない。
でも、文化祭の時、そこで音楽を聴いた記憶がある。

「やだぁ・・・もしかして怖い話?」
「そんなんじゃない」

記憶が交錯している・・・そんな感じだ。

(No.1125-2へ続く)

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ホタル通信 No.503

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.449 制服
実話度:★★★★★(100%)
語り手:女性

この小説、ほぼ事実です。ただし、100%のお決まりで作者は牽引役の女性か、その女性と付き合っていた彼なのかは秘密です。

高校の名前は明かせませんが、当時、私たちの学校は特に男子からのウケがよくありませんでした。正確に言えば女子からもでしょうか。
理由は簡単です。小説に書いてあるように、髪型が画一的であったことが一番の理由です。今ほど自由ではないにせよ、他の学校は髪型そのものに校則はなかったと思います。また制服はブレザーだったのですが、メリハリがないデザインで紺色一色の何とも地味なものでした。

そんな私ですが、クラブ活動を通じて他校の男子と付き合うようになりましたが、小説に書いてある通り、彼に肩身の狭い思いをさせてしまったと思います。
大袈裟と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、ほんと当時は陰口を叩かれることが多かった記憶があります。別に迷惑を掛けているわけではないのですが、昔からの学校のイメージがそうさせていました。
その学校は今でもあります。帰省した際に、時々、その制服を見掛けることがあります。懐かしさ半分、ちょっと苦しかった気持ち半分・・・といったところでしょうか。

まぁ、青春とはそういうものだと思っています。特に昔は制約も多かったですから、何もかも思い通りにはならないことを勉強させてもらったと思えば浮かばれますねw

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[No.1124-2]セミの夢

No.1124-2

「夢の中?ついにそこまで来たのね!」
「それ、褒めてるのw」

今年は夢に出てきた。
それでもやっぱり、セミの足取りは重かった。

「夢でも?」
「うん、息も絶え絶えって感じで」

それは去年も一昨年もそうだった。
現実世界において。

「なんだかんだ言って気にしてるのね?」
「そう言うつもりはないんだけどね」

とは言え、夢にまで出てきてしまった。

「セミに好かれてるわね、随分w」
「それは否定しないw」

もしかしたら明日にでも目の前に現れるかもしれない。
いつも通り、壁にくっついて・・・。

「たかがセミだけど切ない気持ちになるのよ」
「分かってるわよ」

まさに命の火が消えようとしている瞬間に立ち会う。
でも、何も人前で消える必要はない。

「せめて、土にかえしてあげたくて」
「・・・だね」

今年は現れるのだろうか?
どちらにせよ、精一杯、夏を生きればいい。

(No.1124完)
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