[No.1121-2]後ろ通ります
No.1121-2
「将来が楽しみな子ね」
「言えてる」
子供らしくないと言えばそこまでだ。
でも、それを上回る清清しさを感じる。
「なんか可愛いね!」
「ほんと!あんな子が欲しいよ」
今度は愚痴から妄想に変わって行きそうだ。
「あっ・・・」
「どうしたの?急に」
ひとつ大事なことを忘れていた。
立派な大人のくせに。
「ありがとう!って言ってない」
「・・・ほんだ」
予期せぬ出来事だけにとっさに言葉が出なかった。
出たのは驚きの“えっ!”だけだった。
「さすがに・・・もう居ないわね」
追い抜くスピードは子供そのものだった。
元気よく追い抜いて行った。
「じゃ、心の中で」
「うん、分かった」
私たちの声が届いてくれたら嬉しいな。
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