[No.1117-2]しあわせの使者
No.1117-2
「それにしてもどこから来たのかしら?」
「どこか窓、開けてる?」
周りに聞こえるように少し大きな声で言った。
すると、遠くの方から声が聞こえた。
「あそこの窓、開けてるって」
「じゃあ、あそこから?」
だとしてもかなりの低確率で入ってきたことになる。
何度も言うけど、ここは都心の10階のビルの一室だ。
「奇跡ね、大袈裟だけど」
「ううん、全然、大袈裟じゃないよ!」
これも何かの縁だと思う。
「何か良いことがありそうな・・・」
「だよね!」
フワフワの綿毛のビジュアルは最高だ。
見ているだけでも癒される。
「使者・・・しあわせを運んで来た使者ね!」
同僚が唐突に言い放った。
でも、悪くない。
「君は何を運んできてくれたの?」
がらにもなく綿毛に話しかけた。
気のせいだろうか・・・少し微笑んでいるように見えた。
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