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2022年6月

ホタル通信 No.500

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編

最近、何度か特別編を書いていますので、言うほど特別感がなくなってきましたが、今回は「No.500」を迎えたことに対する特別編です。

まず、数字で振り返ってみたいと思います。2022年6月22日現在、小説は1117話掲載していますから、ホタル通信は約半分に到達したことになります。ホタル通信自体は、小説の掲載を始めてから約1年後にスタートさせた企画です。また、掲載のペースは、小説2話に対してホタル通信は1話ですから、このまま進めばホタル通信が小説を追い越すことはありません。

実は、小説の掲載危機・・・特にNo.1000を迎えた頃に、ブログの閉鎖、休止を考えていた時期がありました。これについては何度か記事にしています。原因は慢性的なネタ不足、つまり私が言うところの感性が鈍ってしまったことに他なりません。そのため、閉鎖や長期休止を考えた訳ですが、継続の道も探っていました。その時、考えていたのが「ホタル通信で記事を書いていこう!」ということです。新規のネタはないけど、ホタル通信ならネタは既出の小説分ありますからね。
でも、ご覧の通り、それは実現しませんでした・・・しませんでしたと言うより、採用を見合わせました。何だか続けることだけに固執して、何か大事なものを見失うと思ったからです。

現在、文章力は多少良くなっていても私が思う質は下がっていく一方です。でも、趣味のような仕事のような、そんな不思議な感覚を楽しんでいる自分も居ます。
果たして、ホタル通信がNo.1000を迎え、特別編を書くことが出来るかどうか・・・それこそ“神のみぞ知る”って感じです。

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[No.1118-2]それ以上言わないで!

No.1118-2

「珍しい・・・こともないか?」
「さぁ、どうだろうね」

メジャーではないことは分かっている。

「これには理由があって」
「理由?」

実家に帰った時、かぼちゃの味噌汁が出たことがあった。
子供の頃は、一度も出たことがなかったのに。

「最初はエー!みたいな感じだったけど」

食べてみると実に美味しかった。
かぼちゃの甘みがみそとあう。

「私は食べたことないな」
「僕だってそうだったさ」

それからと言うもの、自分で作ることさえあった。
ただ、カボチャは冷凍食品を使った。

「わかる!面倒だもんね」
「そう!硬いし」

その点、冷凍食品は便利だ。
下茹でしているから調理も早い。

「話を聞いてたら無性に食べたくなってきたよ」
「僕も・・・」

そんなこんなで夕食の献立が決まった。

「白いご飯と相性が良くてさぁ・・・」
「それ以上言わないで!」

(No.1118完)
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[No.1118-1]それ以上言わないで!

No.1118-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「この味噌汁、美味しいね!」
「だよな?」

僕もそう言おうと思っていたところだった。
普通の定食屋とは思えない味だ。

「店の人が聞いたら怒るわよw」
「わかってるよ」

ダシが効いている。
それに、魚介の旨みのようなものも感じる。

「家庭では出せない味かもな」
「そうだね」

でも、家庭は家庭なりの味がある。
そして、家庭ごとの味もある。

「ところでさぁ、味噌汁で好きな具は?」
「・・・そうね」

彼女が考え始めた。
確かに、候補は山のようにあるだろう。

「私は、豆腐とネギかな・・・あなたは?」
「僕は・・・」

好きな具は沢山ある。
その中でひとつに決めるのはなかなか難しい。

「かぼちゃ・・・そう!かぼちゃかな」
「かぼちゃって、あの?」

“あの”以外、何があるのか逆に聞きたいくらいだ。
けど、そう言いたい気持ちも理解できる。

(No.1118-2へ続く)

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[No.1117-2]しあわせの使者

No.1117-2

「それにしてもどこから来たのかしら?」
「どこか窓、開けてる?」

周りに聞こえるように少し大きな声で言った。
すると、遠くの方から声が聞こえた。

「あそこの窓、開けてるって」
「じゃあ、あそこから?」

だとしてもかなりの低確率で入ってきたことになる。
何度も言うけど、ここは都心の10階のビルの一室だ。

「奇跡ね、大袈裟だけど」
「ううん、全然、大袈裟じゃないよ!」

これも何かの縁だと思う。

「何か良いことがありそうな・・・」
「だよね!」

フワフワの綿毛のビジュアルは最高だ。
見ているだけでも癒される。

「使者・・・しあわせを運んで来た使者ね!」

同僚が唐突に言い放った。
でも、悪くない。

「君は何を運んできてくれたの?」

がらにもなく綿毛に話しかけた。
気のせいだろうか・・・少し微笑んでいるように見えた。

(No.1117完)
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[No.1117-1]しあわせの使者

No.1117-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あっ・・・」
「えっ!なに?」

パソコンのキーボードの上にそれは降り立った。
突然のことに思わず声が出てしまった。

「これ・・・」

オフィスに似合わないものだ。
どこから飛んできたのだろうか?

「たんぽぽの綿毛?」
「うん」

都心のそれも10階のビルの一室だ。
そう簡単には飛んでこれない。

「なんで?」
「こっちが聞きたいわよ」

私たちの疑問をよそに、綿毛が揺れている。
いや、揺れているというより生きているようだ。

「ほんと、動いてるようね」

まるで意思を持っているかのようだった。
なぜか私にまとわり付いてくる。

「好かれた?」
「あははw」

でも、そんな風に見えなくもない。

(No.1117-2へ続く)

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ホタル通信 No.499

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.516 雪景色
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

この小説は、雪国の“あるある”がテーマだと言えますね。ただ全ての雪国やそこに住む人たちがそうとは言えません。

地元の観光名所に行ったことがない、地元の名物を食べたことがない・・・案外、多いのではないでしょうか?「いつでも行ける」「いつでも食べられる」は、結局、行けずじまい、食べずじまいで終わってしまいます。

さて話を戻すと、仕事の関係とは言え、長年雪国住みながら雪だるま作ったことがありませんでした。もちろん、非雪国育ちの私としては、雪だるまも雪合戦も大いに楽しみたかったのですがネイティブの方からすれば、雪は邪魔者扱いです。私も雪国に住むようになり、1シーズンもすればその意味が分かるようになりました。
本当は子供のようにはしゃぎたかったわけですが、前述した通り雪だるまを見かけることは滅多にありませんでした。

そのため、いざ、雪だるまを作らせたら下手だった・・・が小説の主軸です。まぁ、これと言って特徴がない小説なんですが、日常を上手く切り取れた小説ではないか?と手前味噌ながら、そう思っています。

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[No.1116-2]男子って!

No.1116-2

「で、そのなかにうちの母親も居て」

数か月に一度、その当番が回ってきていたようだ。

「もしかして・・・」
「そう!さっきみたいに、バッタリ・・・」

母親が当番だと知らずに。

「正確には知ってたんだけど」
「忘れてた?」

そう・・・事前に聞かされていたけど覚えていない。
先のことなんて覚えておく気もなかったし。

「だよね、小学生だもん」
「そうそう!」

だから、ビックリ半分、照れ半分だった。

「さっきの他人行儀はそのせいね」
「そうだよ」

母親がすごく他人に思えた。
仕事じゃないけど、働く母の姿を見たからだ。

「何となく分かるよ」

他人に悟られないよう、横断歩道を渡った。
本当はすごく嬉しかったのに。

「男子ってほんとそんなとこあるよね」

(No.1116完)
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[No.1116-1]男子って!

No.1116-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「あれ?」
「えっ・・・あ、どうも」

まるで他人行儀な対応だった。
恋人同士だというのに。

「ぷっ!なにそれw」
「笑うなよ~」

街中で彼女と偶然出くわした。
それも横断歩道の真ん中で。

「何だかドラマみたいね」
「かもな」

聞けば用事が済んで帰る途中だった。
それは僕も同じだった。

「ちょっと歩こうか?天気もいいし」
「そうね」

全くのノープランも悪くない。

「そう言えば今、思い出したんだけど」

小学生の時、学校近くに横断歩道があった。
そこにいわゆる“緑のおばさん”が居た。

「まぁ、緑ではなかったけど」
「あれでしょ、誘導してくれる人」

それを近所の親たちが順番でやっていた。

(No.1116-2へ続く)

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[No.1115-2]最高の一枚

No.1115-2

「でも、確かに男は苦手かもな」
「特に記念日なんかは」

照れ隠しが硬い表情につながる。
決して冷めているからじゃない。

「けど、もうちょっとさぁ~」
「分かってるよ」

とは言うものの、どうしたら硬くならずに済むのか・・・。

「じゃあ、もう一枚いくわよ」
「う、うん・・・」

時代が時代なら、貴重な一枚になる。
けど、今は連射してもタダだ。

「ほら、笑って!」
「あ、は、は・・・」

薄笑いの何ともしまらない表情になった。
前よりも酷い。

「ぷっ!ひどい顔!」
「笑うなよ~」

でも、お陰様で何だか気持ちが楽になった気がする。

「じゃあ、もう一枚!」
「任せておいて!」

この後、最高の一枚が出来上がることになる。

(No.1115完)
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[No.1115-1]最高の一枚

No.1115-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
感心することがある。
今、この瞬間がそうだ。

「・・・」
「何だよ・・・」

言いたいことは分かっている。
今まで何度も経験しているからだ。

「記念日なのよ?」
「ちょっとは笑いなさいよ」

逆にどうしてそんな笑顔になれるのか聞きたい。
女性の持って生まれた才能なのだろうか。

「今、世の女性を敵に回したわよ」
「褒めてるんだって!」

記念日を特別な店で祝うことにした。
そうなると必然的に記念写真を撮ることになる。

「必然的?」
「何か言い方がドライなのよね」

そんなことはない。
僕は僕なりに喜んでいる。

「ほんと男性は・・・」
「今、世の男性を・・・」

途中で睨まれて、言い切れなかった。

(No.1115-2へ続く)

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ホタル通信 No.498

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.591 メルヘン
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

小説に登場するマスクは、今とは背景が違いますよね。当時は本気のマスクだったと思います。表現は変ですが。

さて、水滴が光の輪に見える現象は他にもあります。例えば眼鏡が曇った時、その状態で信号機を見ると、幻想的な光の輪が見えます。光が乱反射してそう見えるみたいですよ。
話は反れますが、実はこのような見え方・・・白内障がこのような見え方をするそうです。幻想的と思う反面、ご高齢の方は大変な思いをしていると思うと、あまりメルヘンとは言ってられません。

話を戻しましょう。人って単純に光が好きなんだと思います。
太陽や星、虹などの自然の光もあれば、電球やLEDなどの人口の光もありますが、光を出しているものよりも、届く光自体が好きなんだと思います。この小説もそうです、光の輪と言う結果にスポットを当てています。

全体的にそれこそメルヘンで話が進んで行きましたので、オチはちょっとふざけてみました。

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[No.1114-2]生卵のアレ

No.1114-2

「じゃあ、聞くけど見よう見まねの相手は?」
「言っておくけど、元カノじゃないからな」

一応、先に言っておいた方がいいだろう。
アレコレ詮索される前に。

「お母さんでしょ?」
「えっ・・・よく分かったな」

だったら聞くなよ・・・と言いたいところだ。
時々、怪しげなパスを出してくるから女性は怖い。

「この部分をお箸でそっとつまんで・・・」
「まぁ、見た目はちょっと・・・だからね」

生卵だけに、へその緒を連想させるものだ。
ひも状の白い物体・・・。

「ん?で、この部分の名前は?」
「私が知るわけないじゃん!?」

今まで無意識だったからこそ、その部分の名前も知らない。
知る必要もなかったし・・・。

「それって、取った方がいいの?」
「さぁ・・・」

見よう見まねのせいにするわけじゃないが、考えたことがない。
当たり前にする行為だと思っていた。

「ググれば一発よ?」
「いや・・・やめておこう」

なぜだろう・・・答えを知りたくない。

「・・・そうね!じゃあ、あだ名を付けようか?」
「そ、そうだな!」

今日からそれは“ピロピロ”になった。

(No.1114完)
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[No.1114-1]生卵のアレ

No.1114-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
いわゆる“料理男子”ではない。
見よう見まねで覚えてしまった・・・という表現が似合う。

「それって逆にすごいじゃん!」
「そうか?」

確かに器用な方だとは思う。
自分で言うのもおこがましいが、物覚えは速い。

「そうよ!私なんて不器用だから・・・」
「だから毎回僕が?」

基本、お弁当作りは僕の担当だ。
特にこれから作る玉子焼きに関しては・・・。

「そうよ、玉子焼きって、お弁当の顔じゃん?」
「そうだとは思うけど・・・」

言いくるめられているのは分かっている。
まぁ、これも一種のスキンシップだ。

「前から思ってたんだけど・・・」
「なに?」

彼女が玉子焼きの作り方について質問してきた。
僕のある行為を不思議に思っていたらしい。

「確かに・・・取ってるね」
「意識したことがなかったけど」

生卵を割る。
そして、割った後に、あることを行う。

「なんで?」
「なんでと聞かれても・・・」

あえて言うなら見よう見まねで覚えてしまったからだ。
理由は僕にも分からない。

(No.1114-2へ続く)

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