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2022年5月

[No.1113-2]23時の壁

No.1113-2

「子供の頃は、23時が限界だったな」
「それは体力的なもの?」

友人の言う通り、体力的なものもあった。
その時間まで起きていられない。

「でも、それよりも」
「なんか、大人な時間なような気がして」

子供は23時まで起きていてはいけない。
そんな空気を感じていた。

「なるほど・・・言いたいことは分かる」
「でしょ!」

今では、23時なんて普通に通り過ぎる。
時には、電車の中に居ることだって・・・。

「だから、壁と言うか・・・」

超えてはいけない・・・そんな気持ちでいた。

「だから、おとなしく寝てたw」
「起きてたら、良くないことが起きてしまうような・・・」

そんな妄想をしていたこともあった。

「旧家の古い言い伝えみたいねw」

(No.1113完)
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[No.1113-1]23時の壁

No.1113-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「寝不足?」
「あ、ううん、ゲームをちょっと・・・」

最近、オンラインゲームにハマっている。
気付けば26時を超えることも珍しくない。

「好きだね~」
「目覚めちゃって」

だからと言って“急に”と言うことではない。
ゲーム自体は子供の頃から好きだった。

「そう言えば・・・」
「なに?」

時間で思い出したことがある。

「時間?」
「ほら、さっき26時って言ったでしょ?」

つまり、深夜2時のことだ。
偉そうに言うことではないが。

「・・・だよね、それが?」
「今でこそ、24時を超えることなんて普通だけど」

子供の頃は考えられない時間だ。
24時どころか、壁はもっと前にあった。

(No.1113-2へ続く)

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ホタル通信 No.497

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.531 宇宙の謎
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

この小説を一言で表現すると、実現しなかった未来を描いたものだと言えます。

話の主軸であるプラネタリウムは事実です。そこに至るまでの星や宇宙も事実です。ただ、小説のようにプラネタリウムに行くことは叶いませんでした。完全な妄想ではなく、実際、行く予定はあったのですが、実現しませんでした。
小説に出てくる科学館・・・実は思い出深い場所なんです。でも、行ったことはありません。もちろん、矛盾しているとは思っていますが・・・。
この科学館、他の小説にも少しだけ、登場しているはずです。「はずです」と書いたのは、どの小説か覚えていないからです、すみません。

彼女の影響で星が好きになり、そこから宇宙そのものに興味が出てきて、最終的には物理学に行き着きます。そんな自分がちょっとだけ好きなんです。いつか、空気の澄んだ場所で、夜空を見上げた時、この小説を思い出すのでしょうね、きっと。

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[No.1112-2]黄色いマーカー

No.1112-2

「おじさんがね」
「おじさん?」

おじさんが参考書らしきものを開いて勉強していた。
何だかとても難しそうな本だった。

「たまたまかもしれないけど」
「一面、文字で埋め尽くされてた」

直感的に、何らかの法律書のように感じた。
実際、それを見たことはないが。

「難しい小説とか?」
「多分、それはない」

所々、黄色いマーカーが引かれていた。
さすがに小説でマーカーを引く人は皆無だろう。

「60歳以上だと思う」
「見た目で判断しちゃいけないけど、白髪頭で・・・」

若い人たちが勉強している姿はよく見掛ける。
でも、おじさんは初めてかもしれない。

「それで刺激を受けたんだ?」
「うん・・・本気のオーラが背中から・・・」

勉強するのに年齢は関係ない。
素直にそう感じた。

(No.1112完)
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[No.1112-1]黄色いマーカー

No.1112-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
参考書を広げて勉強している風景は良く見掛ける。
でも、それを見て刺激を受けたのは初めてだ。

「勉強していい?」
「えっ・・・いいけど」

友人が不思議そうな顔をしている。
無理もない、私だって自分の変化に驚いている。

「資格でも取るつもりなの?」
「そうよ!」

以前から気になっていた資格を取ることにした。
かれこれ、1年くらい放置してきたが・・・。

「参考書は随分前に買ってたんだけど」

でも、覚悟を決めた。
このままではダメだと。

「なにかあったの?」
「うん、あった」

先週、ファストフード店で食事をしていた時だ。

「一人で?」
「うん、ひとり・・・それは言わないの!」

危うく“ノリ突っ込み”するところだった。

(No.1112-2へ続く)

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[No.1111-2]たんぽぽの綿毛

No.1111-2

「む、虫でもいたの!?」

花は好きだけど虫は嫌いだ。

「ちがう!ちがう!」
「虫やない!」

でも、彼女の視線は一点に集中している。
それに、花に顔をかなり接近させてもいる。

「でもなんか居るんだろ?」
「爬虫類系?」

居たらそれこそパニックになる。
虫よりもっとそれが嫌いだ。

「花が好きで、虫や爬虫類が嫌い・・」
「男子にしては珍しいパターンやな」

呆れているような感心しているようなセリフだった。
でも、自分でもそう思う。

「それなら何が居るんだよ・・・」
「ほら、これ見てみぃ」

彼女がマリーゴールドの茎を指差す。
そこには・・・。

「綿毛か!」
「そや!たんぽぽの!」

どこからか飛んできた綿毛が茎にくっ付いている。
僕らの関係と・・・どことなく似ている。

(No.1111完)
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[No.1111-1]たんぽぽの綿毛

No.1111-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「かわいいやん!」
「だろ?」

自分で言うのも何だが、自慢の娘たちだ。
娘と言っても、人間ではないのだが・・・。

「いつの間にか増えちゃって」

以前、友人から花を貰った。
貰ったと言うより、押し付けられたと言った方がいい。

「植物っていいよね」
「うちも好きやねん!」

いつしか、ベランダが花で覆われるようになった。
今もこうして色とりどりの花が咲き誇っている。

「男で花なんて・・・恥ずかしいけどな」
「そんなことないやん!」

もちろん、趣味のひとつであって全てではない。
けど、この癒しはやった者にしか分からない。

「何時間でも見てられるよ」
「そうそう!」

何をするわけでもない。
何を話すわけでもない。

「・・・あれ?」
「どうしたの?」

彼女が何かに気付いたようだった。

(No.1111-2へ続く)

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ホタル通信 No.496

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.459 空がない
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

空をテーマにした小説は多い方だと思います。特に初期の作品には度々登場していたと思います。

ただ、私の場合、どちらかと言えば空は“陰”の存在です。今風に言えば、陰キャラです。空に何らかの寂しさや悲しみを重ねたことが多く、当時は病んでいたのかと思えるほどです。
でも、誰の下にも平等に空はあって、そこに人々のつながりを感じていることも事実です。

さて、そんなこんなで何やら哲学っぽい展開で幕を開けましたが、実は話のきっかけはSky(スカイ)の空ではなく、駐車場に“空きがある”の空でした。偶然にも青色の“空”の表示を見掛けた時、「これだ!」とひらめきました。まぁ、私の創作活動はいつもこんな感じです。
従って、オチが決まっている状態から、話を肉付けしていったわけですが、それならと当時の心境をSkyに託したわけです。

皆さん、空を見上げていますか?昔は自分自身によく言い聞かせました。下を向いていることが多かったですからねw

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[No.1110-2]テクテク

No.1110-2

「でも、擬音つながりでしょ?」
「ここまで引っ張ってるんだから」

もちろんそうだ。
私の夢は、ある擬音と関係している。

「ある擬音・・・ねぇ」
「分かる?」

と聞いておきながら、まず当たらないだろう。

「ラブラブ?」
「それ、擬音なのw」

繰り返しになるが擬音はそれだけで成立する。
それ以上でもそれ以下でもない。

「じゃあ、イチャイチャだ!」
「それも擬音?」

でも、悪くない。
あらためて擬音の力は偉大だと感じる。

「ヒントは?」
「そうねぇ~」

日曜日の昼下がり、彼と川沿いの道を歩く。
それにピッタリな擬音だ。

「二人で手を繋いで・・・」

(No.1110完)
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[No.1110-1]テクテク

No.1110-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
擬音は一種の発明だと思う。

「どうしたの急に?!」
「擬音がどうしたって?」

誰が言い出したかは知らない。
でも、擬音ほど便利な言葉はない。

「まぁ・・・そうよね」
「なんか、ほら・・・それ以外あり得ない」

擬音をいちいち説明するのは愚の骨頂だ。
擬音はそれだけで成立している。

「熱く語るね!」
「ほんと、どうしたの?」

そう思われても仕方がない。
確かに熱く語っている。

「私、夢があるんだ」
「彼氏が出来たら・・・」

今、彼氏は居ない。
正確には今まで居たことがない。

「高1なら、居なくても不思議じゃなくない?」
「ところで夢って?」

そう、私には夢がある。

(No.1110-2へ続く)

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[No.1109-2]やさしい雨

No.1109-2

「言ってることと態度が違わなくない?」
「ごめん、ごめんw」

けど、自分でも笑ってしまうほどだ。
外に出た途端に雨が落ちてきたからだ。

「いつもそうなんだよな」
「だから雨男なんでしょ?」

世の中には僕のような人が大勢いるはずだ。
タイミングが悪いだけの人が・・・。

「逆に晴れ男や晴れ女っているのかな?」
「いるんじゃない、やっぱり」

雨降りを晴天に変える・・・何とも羨ましい限りだ。

「知り合いでいる?」
「いるよ」

野外のイベントとかでは引っ張りだこだろう。
人気者ぶりが目に浮かぶ。

「是非、お近づきになりたいな」
「変な意味ではなく」

そうすれば雨の勢いを弱めてくれるかもしれない。
今日のような場合でも。

「以外に近くにいるかもよ~」
「それなら、いいけどな」

今日の雨は心なしか、やさしいような気がする。

(No.1109完)
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[No.1109-1]やさしい雨

No.1109-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------

確かに雨の予報はあった。
だから、降ってきてもおかしくはない、でも・・・。

「あっ・・・降ってきた?」
「・・・」

乾いた道路が見る見るうちに黒光りに変わる。
にわか雨ではなさそうだ。

「気にしてる?」
「・・・まぁな」

僕の雨男ぶりは皆に知られている。
だからこその発言だ。

「それにしても」
「感心しちゃうほどのタイミングね」

褒められているわけではない。
つまり、バットタイミングという意味だ。

「すごいだろう!」

ここは開き直るしかない。

「そうね、ある意味w」

彼女がクスクスと笑い出した。

「でも、19時から雨だって予報が出てたでしょ?」
「気にすることはないわよw」

という割には笑いが止まらないようだ。

(No.1109-2へ続く)

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ホタル通信 No.495

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.445 目線
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

良く言えば、ちょっと哲学風な感じの小説ですね。悪く言えば理屈っぽくて説明調です。

さて、話の主軸である写真の話、その写真の元となるブログの存在は事実です。ただ、残念ながらそのブログはもうありません。
小説の通り、私のブログにちょくちょく訪問いただき、交流がありました。とても魅力的な写真を撮られる方で、その感性に憧れさえ抱いていました。その写真に秘められた物語のようなものを感じていたからです。撮影者様がそこまで想いながら、シャッターを切ったかどうかは定かではありませんが、いわば写真という小説に魅了されたのかもしれません。

ブログを続けていくことはとても難しいものだと実感しています。
何度もその危機に遭遇しては何とか乗り越えていますが、いつ糸がプツンと切れてしまうか分かりません。交流があった方々はいつしか更新が止まり、そのままとなっています。その方々の意思を継いだわけではないのですが、こうやって書き続けている宿命のようなものを感じずにはいられません。

その方のブログの最後の写真は、ススキの草原でした。どこか悲しそうで、そこに私は何らかの迷いを感じたのを覚えています。

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[No.1108-2]理不尽なこと

No.1108-2

「どこにいても?」
「風に好かれてるの?」

そんなわけはない。
朝、私は東に向かって自転車を漕いでいた。

「その時、向かい風だったのよね」
「じゃあ、西に向かったら?」

クイズを出したつもりはない。
そのまま素直に答えてくれればいい。

「・・・追い風だよね?」
「普通はね」

そうならないのが“自然の不思議”だと言っておこう。

「それが、向かい風なんだよね」
「なんで?」

付け加えるなら、南や北に進んでもそうだ。
なぜだか、全て向かい風になる。

「こっちが聞きたいくらいよ」
「今日に限らず、ずっとそう!」

追い風で楽に漕げた記憶がない。
確率的には四分の一なのに。

「こんな理不尽なことってある?!」

(No.1108完)
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[No.1108-1]理不尽なこと

No.1108-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
世の中、理不尽だらけだ。
特にこれは・・・。

「どうしたの!?豪快な寝ぐせね」
「ち、違うわよ!」

まぁ、確かにそう見えなくもない。
でも、髪をとかせば元に戻る。

「あら?ほんとだ」
「さっきのは何?」

私は自転車で通勤している。
今日はやけに風が強かった。

「そうなんだ」
「私は電車だから」

そのつもりがなくても嫌味に聞こえる。

「でもそんなに強かったっけ?」
「かなりよ、かなり!」

真正面からもろに風を受けてしまった。
でも、それだけじゃない。

「じゃない?」
「そ!」

風はどこにいても私に向かってきた。

(No.1108-2へ続く)

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