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[No.1100-1]せっかちな桜

No.1100-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「ほら!あれ見てよ!」

その言葉だけで何を言いたいのか分かる。
今の季節ならではの出来事だからだ。

「早くない?」
「他のは全然咲いていないのに」

花どころかつぼみも見当たらない。
せっかちにもほどがある。

「だよね」
「この木だけ満開」

いや・・・満開どころか、散り始めている。
今も花びらが宙を舞っている。

「春を先取りね!」
「逆に、終わり感が半端ないけど」

春を感じるどころか、気分はもう初夏だ。

「それにしても・・・」
「このギャップがすごいね」

枯れ野原に咲く、一輪の花・・・って感じだ。
明暗のコントラストが際立っている。

「ここは春なのに」
「他はまだ冬だよね」

気温のせいもあるだろう。
この木の周りだけ、不思議と暖かく感じる。

(No.1100-2へ続く)

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