[No.1098-2]最高の場所
No.1098-2
でも、ここに一人で来ることはほとんどなかった。
理由は簡単だ。
(お金、持ってなかったもんな)
だから、母親の買い物に付いて行く。
手伝いついでに、たこ焼きにありつく。
(実際、ちゃんと手伝ってたよな?)
持ち帰り自由なダンボール箱に商品を詰め込む。
そしてそれを自転車の荷台に積む。
(それをゴムバンドでグルグルにして)
荷台から落ちないようにする。
これが僕の主な手伝いだった。
(・・・ほんと、懐かしいな)
昔の映像が鮮明に蘇ってくる。
無邪気にはしゃぐ僕の姿も。
(さてと・・・)
ここに来たのは思い出に浸るためではない。
急いで、花の束を2つ買って実家に向かった。
「帰ったよ!」
出迎えてくれる人はいない。
でも、待っててくれる人は居る。
「ごめん、しばらく来れなくて」
「久しぶりに・・・で買い物したよ」
買った花の束をそっと仏壇にそなえた。
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