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[No.1096-2]それを二本

No.1096-2

「大人になってフッと思い出して」
「調べてみたら」

販売が終了していることがわかった。

「そうなると余計、飲みたくなるだろ?」
「わかる、わかる!」

似た物を飲んだこともあった。
でも、やはり覚えている味とは違った。

「まさか復活するとは・・・」
「それに進化してるし」

昔に飲んだものは炭酸は入っていなかった。
でも、これは炭酸入りのようだった。

「何だか美味しそうね!」
「買ってみない?」

懐かしさが先行して、肝心なことを忘れていた。

「もちろんだよ!」
「じゃ、今夜は唐揚げでも作ろうか?」

その言葉に大きくうなづく僕がいた。

「それにしても本当に懐かしいな」
「母親が好きでさぁ・・・」

普段、母はアルコールを口にしなかった。
でも、これだけは飲んでいた記憶がある。

「一度くらいは一緒に飲みたかったかな・・・」
「代わりに私が付き合ってあげるからさ!」

そっとそれを二本、手に取った。
S1096
(No.1096完)
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