[No.1094-2]レトロ好き
No.1094-2
「見当たらない?」
「あぁ、捨てた記憶はないんだけどな」
押入れの奥にでもしまってあるかもしれない。
定かではないが。
「探してみる?」
「いいよ、面倒だから」
出てきた所で、またしまうか、捨てるかの二択だ。
レトロへの興味は完全に失っている。
「当時はあれだけ熱心だったのにな」
「そんなものよ、マイブームは」
気付けば熱が冷めていた。
そうなると、実用性の低い物は隅に追いやられた。
「やっぱり、掘り出してみようよ!」
「押入れの中から」
気が乗らない反面、気にならなくもない。
あったらあったで嬉しくないわけではないからだ。
「そうと決まれば発掘開始!」
「俺の家は遺跡かよ!」
でも、残念ながら“お宝”は発見されなかった。
「他に埋めた場所は?」
「おいおい、本当に遺跡っぽい言い方はやめろよ」
残念ながらここになければどこにもない。
やはり、捨ててしまったらしい。
最近のコメント