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2022年2月

[No.1094-2]レトロ好き

No.1094-2

「見当たらない?」
「あぁ、捨てた記憶はないんだけどな」

押入れの奥にでもしまってあるかもしれない。
定かではないが。

「探してみる?」
「いいよ、面倒だから」

出てきた所で、またしまうか、捨てるかの二択だ。
レトロへの興味は完全に失っている。

「当時はあれだけ熱心だったのにな」
「そんなものよ、マイブームは」

気付けば熱が冷めていた。
そうなると、実用性の低い物は隅に追いやられた。

「やっぱり、掘り出してみようよ!」
「押入れの中から」

気が乗らない反面、気にならなくもない。
あったらあったで嬉しくないわけではないからだ。

「そうと決まれば発掘開始!」
「俺の家は遺跡かよ!」

でも、残念ながら“お宝”は発見されなかった。

「他に埋めた場所は?」
「おいおい、本当に遺跡っぽい言い方はやめろよ」

残念ながらここになければどこにもない。
やはり、捨ててしまったらしい。

「まぁ、一番のレトロは目の前に居るけどね」
S1094
(No10940完)
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[No.1094-1]レトロ好き

No.1094-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
誰しもが通る道とは言わない。
でも、興味を示したことは1度くらいあると思う。

「そうねぇ・・・言われてみれば」
「だろ?」

僕にもそんな時期があった。
水筒やガラスの瓶など、レトロな物を集めた。

「正確に言えばレトロ風だな」
「本当にレトロな物は高くて買えなかったから」

早い話、デザインがレトロ風なだけだ。
それ以外はいたって普通だ。

「でも、使い勝手は良くなかったでしょ?」
「その通り!」

買ってはみたものの使い勝手は悪い。
何なら、まともに使えない物だってあった。

「レトロな瓶なんかさぁ」
「結局、入れるものがなくて飾っておいただけ」

でも、これこそが本来の楽しみ方かもしれない。

「そうなるよね」
「でも、あなたが言う通り、それが正解かも」

利便性は追求しない。
それを求めるなら、最新型を買えば良い。

「今も持ってるの?」
「ううん、全部捨てた」

と言うより、見当たらない。

(No.1094-2へ続く)

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[No.1093-2]高貴な名前

No.1093-2

「この際だから調べてみる?」
「だよな」

そうは言ったものの、どう調べようか迷う。
街中に居る鳥は、それなりに多いと思う。

「そんなの簡単よ!」
「そのままググったら?」

確かに言う通りだ。
ネットの検索機能は秀逸だ。

「じゃあ・・・白い体に・・・」
「それかい!」

彼女が珍しく関西弁で突っ込んできた。
元関西人だけに。

「思わず関西弁が出ちゃったよ!」
「街中、人懐っこい鳥、で検索でしょ!」

もちろん、分かっていた。
ちょっとふざけてみただけだった。

「分かってるよ」
「街中・・・人懐っこい・・・」

候補となるワードが出てくる。

「あはは!他の人も同じね!」
「考えることは一緒ってことだな」

苦労せずにその鳥の名前が分かった。

「へぇ~こんな名前だったんだ」
「何だか高貴な名前ね」

確かに、昔の中国の王族風な名前だ。
S1093
(No.1093完)
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[No.1093-1]高貴な名前

No.1093-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ほんと、人懐っこいね!」
「だよな」

街中で見る鳥の中に、不思議な鳥がいる。
その特徴が人懐っこいところだ。

「なんて名前?」
「さぁ・・・」

頻繁に見れるわけではないが、珍しくは無い。
ただ、鳩やスズメに比べたら、見る機会は少ない。

「なんだよ、知らないの?」
「あなただって!」

この際、名前は無視しておこう。
喧嘩になる前に話を戻したほうが良い。

「ごめん、ごめん!」
「あっ!近付いてきたよ」

その言葉に彼女もすぐさま反応する。

「わぁ!こっちにおいで」

よからぬ方向に進まずに済んだようだ。

「あっ!今度は逃げちゃった・・・」
「あはは!」

ピョコピョコ動く姿が可愛い。
跳ねるというより、早歩きしている感じがする。

「なんて名前なんだろうね?」
「話を戻すの!?」

彼女が笑顔でそう言い放った。
もちろん、喧嘩する意思はない。

(No.1093-2へ続く)

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ホタル通信 No.487

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.444 確率40%
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

雨女、雨男に似た感じの内容ですが、久しぶりにあるワードを言えば、ドロドロした部分がない「商業的な小説」です。

話のきっかけが全くなかったわけではありませんが、ここに書く必要がないくらい微々たるものです。さて、小説は雨が降るとか降らないとか、確立を交えて話を膨らませています。自分で言うのも何ですが、ほぼどうでもいい内容で話が進んで行きます。ですが、どうでもいい展開の時ほど、ラストに急展開してオチを迎えることが多いです。

さすがに創作過程までは覚えていませんが、本当はラストは違う展開を考えていたような気がします。
確立の話だけに、彼氏が出来る確率や別れる確率・・・今、小説を書き直すとすれば、それをラストに採用すると考えています。
恥ずかしながら、合コン関係がオチのパターンは少なくありません。合コンって色々な要素が詰まっている言葉で、大袈裟ですが、人生の縮図がそこに眠っています。

最後に、合コン関係の言葉を使ってオチを描くパターンの今後の確率は・・・。
T487
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[No.1092-2]成人式

No.1092-2

「最初から行く気がなかったのかもな」
「だから、仕事してたのかも」

ちょっと格好を付けたかったのかもしれない。
仕事の関係で出られませんでしたよ・・・と。

「そういうことだから」
「成人式はテレビで見た以外、分からない」

上辺は語れても雰囲気は無理だ。

「君はどうだったんだよ?」
「成・・・」

言い掛けて気付いた。
彼女は僕より、環境が良くなかったことを。

「うち?」
「もちろん、行ってへんで!」

予想に反して明るい返事が帰ってきた。
“行っていない”のにも関わらず。

「うちはその時・・・どこにいたんやろうな?」

どこ・・・具体的な場所かもしれない。
あるいは、心の中のことを言っているのかもしれない。

「どっちにしても、行かへんわ」
「・・・多分」

行かなかった理由は何となく分かる。
俺とはまた違う理由だ。

「まぁ、仲間やね!」
「だな!」

成人式に行っても行かなくても大人は大人だ。

「立派かどうかはわからへんけどな」
S1092
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[No.1092-1]成人式

No.1092-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「成人式って、どやった?」
「えっ!?俺に聞く・・・」

説明が下手だから話せないわけじゃない。
全うな理由がある。

「まぁ、女は着物で、男はスーツかな?」
「服装を聞いてるんと違う」

あえなく撃沈した。
まぁ、想定通りの展開ではあるが。

「そうだな・・・目が輝いてるとか?」
「新成人だけに」

彼女の表情が険しい。
そろそろ本当のことを言うべきだろう。

「あの・・・さぁ・・・」
「俺ね・・・」

成人式には行っていない。
これにもいくつか理由があった。

「行ってへんの?」
「うん・・・」

当日、仕事をしていた。
今じゃ、色々と問題かもしれないが。

「それに・・・」
「地元じゃなかったし」

成人を見知らぬ土地でむかえることになった。
言わばこれも仕事の関係だ。

「参加したところで知り合いもいないだろ?」
「そうやったんや・・・」

だからと言って、悔やんでいるわけではない。

(No.1092-2へ続く)

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[No.1091-2]お婆ちゃんの背中

No.1091-2

「歩みは速くはないけど」
「一歩、一歩、確実に・・・」

まだ人生を語る年齢ではない。
でも、何か無視できないものを感じる。

「勝手な想像だけど」
「何か、こう・・・背負ってきたような」

弱さではなく、逆に力強さを感じる。

「そりゃそうよ!」
「お母さんのお母さんなんだから」

友人の幼稚な表現が笑える。
けど、その通りなんだ。

「女は強いの!」
「・・・だね!」

もしかしたら、寂しさと強さは紙一重かもしれない。

「今度、声掛けてみたら?」
「おはようございますぅ!って」

友人が突拍子もないことを言い放った。
でも・・・。

「・・・そうね」
「そうするか!」

友人の提案を受け入れることにした。

「・・・マジで?」
「うん、マジだよ」

だって、女は度胸だってあるのよ。
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[No.1091-1]お婆ちゃんの背中

No.1091-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
通学途中に出会う、お婆ちゃんがいる。
その背中はどこか寂しそうに見える。

「そりゃ、お年寄りだからでしょ?」
「失礼なこと言わないの!」

寂しそうに見えるのは私の感覚だ。
他の人ではそう見えないのかもしれない。

「なんで寂しそうに見えるの?」
「ほら、なんていうか・・・」

具体的な説明は難しい。
ただ何となく、そう見えるだけだ。

「表現は間違っているけど」
「哀愁と言うか・・・」

かもし出す雰囲気がそう見せている。
でも、決して、悪い風には見えない。

「長く生きてきた証と言うか・・・」
「・・・そうね」

大袈裟だけど、そこに人生の一端が見える。

「そもそも、何で居るの?仕事?」
「ううん、散歩のように見える」

持ち物が少ない。
小さな巾着袋を手に持っているだけだ。

「なるほど・・・」
「それなら、散歩かもしれないね」

通学の時間帯は慌しいとは思う。
けど、朝の清清しさも無視できないだろう。

(No.1091-2へ続く)

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