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[No.1087-1]木の匂い

No.1087-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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(・・・なんだろう?)

明らかに何かの記憶が呼び出されようとしている。

「・・・どうしたの?」
「考えごと?」

友人にそう言われて気付く。
確かに考えごとをしている。

「う、ううん・・・」
「えっ!なになに!?」

よからぬことを考えているのが手に取るように分かる。
どうせ、好きな人が出来た・・・の展開だろう。

「好きな人でもできたの!?」
「はいはい・・・」

せっかくのムードも台無しだ。

「ムード?」
「朝から何、意味不明なこと言ってるのよ」

通学途中に古ぼけた家があった。
やや荒れていたから住んでいる人はいなかったはずだ。

「家?」
「その家・・・解体中なんだよね」

特にこの家に思い入れはない。
理由は簡単だ、見ず知らずの人の家だからだ。

「・・・どういうこと?」
「家の前を通り過ぎたらさぁ・・・、」

何だか、記憶を揺さぶる匂いがしてきた。
でも、それが何だか分からずにいる。

(No.1087-2へ続く)

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