[No.1086-2]西日
No.1086-2
「あはは!大袈裟な」
「単に昼寝しただけだろ?」
でも、せっかくの・・・。
「せっかくの休みだからこそ、ゆっくりすれば?」
「俺に気を遣わずにさ」
その言葉に嘘はない。
それどころか、嫌味の欠片も感じられない。
「ほんと、ごめん・・・」
「こうやって過ごす時間が大切なんだよ」
その一言に思わず頷いてしまった。
「一時停止してるから、続きから見ようよ」
「続き?・・・あっ!そうだった」
寝てしまう前に映画を見ていたことを思い出した。
「この映画、つまんないもんね」
「私が見よう!って言ったのに・・・」
それなのに、私が寝落ちしてどうするって感じだ。
無理やりつき合わせてしまったのに。
「そうか、なかなかシュールで好きだぞ?」
もちろん、私を気遣っての一言だ。
お世辞にも面白いとは言えない。
「続き見る?」
「嫌なら、寝ててもいいぞ?」
軽いジョークで返された。
「じゃあ、寝る!」
「どうぞどうぞ」
いつの間にかカーテンの隙間から西日は見えなくなっていた。
(No.1086完)
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