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2022年1月

ホタル通信 No.486

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.454 写真の中の私
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

実話度に関してはかなり微妙です。20%でも多過ぎるような気もするし、逆に少な過ぎる気もします。

全体的な構成は創作です。でも、随所に実話の欠片が散りばめられています。その欠片は、ひとつのエピソードを細かく砕いたものではなく、複数のとても小さなエピソードです。
そのため、実話のような実話ではないような感じになっています。そのエピソードとは、アルバムの整理であったり、ネコの写真であったりです。

アルバムの整理については、結構、あるあるだと思っています。物理的に整理するだけなら、さほど時間は掛かりませんが、そう簡単に行かないのが、アルバムの整理です。そのアルバムには残っていない、彼との写真、それとは対照的なネコの写真・・・後半に取って付けたような感じで登場するわけですが、実はこれが小説の主軸です。

自分で言うのも何ですが、特にこれと言った特徴がないのが特徴と言える小説です。ですが、何かこうモヤモヤした感じを小説にした・・・勢いだけで書いていたあの頃を思い出します。
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[No.1090-2]侵入!

No.1090-2

「でも、分かる気がするよ」
「子供ってそんなとこ、あるもんな」

ちょっとした探検気分だった。
当時、そんなテレビ番組が多かった影響もあった。

「夜の学校なんて最高でしょ!」
「だろうな!」

先生に見つかれば確実に怒られる。
いや、今の時代なら、警察沙汰にもなるだろう。

「当時はまだそのあたりは緩くて」

大袈裟に言えば、この程度は日常茶飯事だ。
それほど珍しくもなかった。

「で、肝心のイタチは?」
「あっ!そうだったわね」

捕獲に本気じゃないから、何事もなく終わった。
皆で夜の学校を楽しんだだけに終わった。

「まぁ、最初からそんな感じだったし」
「小学生ならそんな程度だろうな」

もし、イタチが居たら太刀打ち出来なかっただろう。
それはそれで正解だった。

「ちなみに、誰が言い出したの?」
「・・・私よ」

むしろ、男子は腰が引けていた。
イタチに対しても、忍び込むことに対しても。

「・・・だろうな」
「納得しないの!」

そんな性格は今でも変わっていない。
S1090
(No.1090完)
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[No.1090-1]侵入!

No.1090-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
小学生の時、学校に忍び込んだことがある。

「泥棒?」
「な、わけないでしょ!」

とは言え、ある程度そのツッコミを期待していた。

「その頃、学校にイタチが出没するようになって」

学校で飼っていたニワトリたちが襲われた。

「・・・田舎に住んでたの?」
「そっちかい!」

話が前に進んでいかない。
まぁ、何かを期待しながら話す私も悪いのだが。

「それは否定しない」
「結構、自然が豊かな環境だったから」

それまで度々、目撃情報はあった。
でも、被害が無かったために対策は打たれなかった。

「けど、被害が出た」
「そう!学校は学校で・・・」

ニワトリ小屋をより強固な金網に変えるなど対策を施した。
でも、私たちは私たちで・・・。

「もしかして、捕まえようと?」
「うん」

別に本気で捕まえようとは思ってはいなかった。
でも、何となく、皆そんな雰囲気になっていた。

「で、学校に?」
「夜、忍び込むことにしたの」

もちろん、校舎内には入るわけではない。

(No.1090-2へ続く)

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[No.1089-2]二代目

No.1089-2

「煮た?」
「うん、大袈裟に言えばドロドロに」

それが格別の味だった。
溶けた餅に白味噌がよく染み込んだ。

「だから、こっちで初めて食べた時・・・」
「つゆよりも、餅にびっくりしたよ」

ここでは餅を焼いて食べる。
焦げ目が付いた餅が、不思議とつゆにマッチする。

「でも、これはこれで、“有り”だと思った」
「でしょ!」

もちろん、焼いた餅を食べたことはある。
でも、煮て食べるのが実家の習慣だった。

「ほんと、地域や家によって違うよね」
「あぁ、大袈裟だけど代々受け継がれてたりするし」

目の前の雑煮も、言わば受け継いだ。
ごく自然に・・・。

「よっ!二代目!」
「おいおい・・・からかうなよ」

確かに、知りうる範囲では二代目に間違いないが・・・。
きっと喜んでくれているだろう。

「けど、ほんと美味しいよ」
「味も変わらない」

正式に受け継いだわけじゃない。
でも、こうやって代々受け継がれるのかもしれない。
S1089
(No.1089完)
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[No.1089-1]二代目

No.1089-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
なぜか正月の雑煮は僕が作ることになっている。

「お餅、何個?」
「私は三つ!」

僕は、ひとつ多く食べる。

「ミツバ、忘れないでね!」
「オッケー!」

正月三が日の朝はいつもこんな会話が飛び交う。
それはそれで嬉しくもあるが。

「やっぱり美味しいね!」
「見よう見まねだけどね」

詳しいレシピは知らない。
それを食べて味や作り方を覚えた。

「それでもすごいよ」

この地域の雑煮は、甘めの醤油べースのつゆだ。
そこに、大根、人参、鶏肉などを入れる。

「そ、そうかな?」
「そうよ!」

褒められると嬉しい。
だから、毎年作っているわけだが・・・。

「でも、雑煮って地域によって違うよな?」
「だよね」

僕の実家は、白味噌ベースだった。
そこに、水で煮た餅を入れる。

(No.1089-2へ続く)

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ホタル通信 No.485

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.441 引越しソング
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

登場人物の設定等は事実ではないものの、シチュエーションとしてはほぼ事実です。

引越し、住み慣れた街を離れる・・・遠回しに書いていますが早い話、転勤でした。当ブログをよくご存知の方なら、どこからどこへ転勤したのかは分かっていただけると思います。
さて、タイトルになっている引越しドングとは、「day after tomorrow」の「My faith」という曲です。小説にも書いてありますが、この曲、引越しとかには全く関係ありません(笑)

でも、なぜかこの曲が当時、心を揺さぶりました。引越しそのものではなく、今までの思い出を刺激したのだと自分で分析しています。その数々の思い出にその曲がマッチしたということでしょうね。メロディラインが、しんみり系なのと、サビでグッと盛り上がってくることから、不安と期待、まさしく新天地へと向かう私の気持ちともマッチしたのかもしれません。

今でもこの曲は、私にとっては引越しソングです。この曲を聴くと、今でも当時のことを思い出し、胸がちょっと熱くなります。
T485
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[No.1088-2]ひとり○○

No.1088-2

「昔は負け犬みたいなイメージがあったもんね」

確かに昔はそんな感じだった。
友人が居ない、彼氏や彼女が居ない・・・その象徴だった。

「今じゃひとり焼肉だって普通だもんね」
「彼氏や彼女が居ても、ひとりで行く人もいるだろうし」

格好良く言えば多様化の時代だ。
それに人の目を気にしないとも言える。

「・・・そう言えば」
「なに?」

あることを思い出した。

「俺、ひとり野球してたよ」
「ひとり野球?出来るの?」

もちろん、ひとりじゃ無理だ。
でも、ある程度ならできる。

「向かいの家の壁に、ボールを投げて」
「跳ね返ってきたボールを捕る」

ピッチャーとバッターが同時に実現できる。

「それに、いい具合に壁に段差があって」

それが跳ね返るボールに様々な変化を生んだ。

「俺、ひとりカラオケ大丈夫そうだよ!」
「でも、一緒に行こうね」
S1088
(No.1088完)
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[No.1088-1]ひとり○○

No.1088-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、ひとりカラオケとか大丈夫?」
「・・・そうだな」

正直、行ったことがないから分からない。
大丈夫のような気もするが・・・。

「そもそもカラオケ自体、行かないし」
「私は全然、大丈夫よ」

人それぞれだと思う。
ひとりでも気にならない人も居る。

「俺はどちらかと言えば苦手な方かな」
「そう?そんな風には見えないけど」

でも、何をもって“ひとり”と言うのだろう。
極端な話、通勤だって皆ひとりだろう。

「そう言えばそうね」
「学生時代ならそうじゃないかもしれないけど」

会社に連れ立ってくる人はそういない。
いや、皆無と言っていいだろう。

「他にも色々あるだろう?」
「ひとりで行動することなんて」

彼女が言いたいことは分かっている。
本来、ひとりでは行かない所・・・それが定義だと。

「それに今の時代、ひとりでも不自然じゃないだろ?」

ひとり○○も、十分過ぎるくらい市民権を得ている。

(No.1088-2へ続く)

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[No.1087-2]木の匂い

No.1087-2

「匂い・・・どんな?」
「木の匂いよ」

とは言え、ヒノキのような高級な匂いではない。
どこか湿っぽくもある匂いだ。

「木の匂いね~」
「まぁ、解体してるんだからするよね」

それは間違いない。
木造の古びた家だからだ。

「どこかでかいだ匂いなんだよね・・・どこかで」

それが思い出せないでいる。
明らかにかいだことがある匂いなのに。

「香水とか、芳香剤の匂いとか?」
「ううん、そんなんじゃない・・・」

人工物ではなく、もっと自然のような・・・。

「じゃあ、植物とか?」
「それも違うような気がする」

人工でもなく、自然でもない。
自分で八方塞の状況を作り出してしまった。

「仕方ないわね!」
「今日の帰り、付き合ってあげるわよ」

解体は始まったばかりだ。
まだ、匂いはするはずだ。

「ありがとう!助かる」
「何だか、お婆ちゃんの家に行くみたいね」

ん!?
S1087_20220113225701
(No.1087完)
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[No.1087-1]木の匂い

No.1087-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・なんだろう?)

明らかに何かの記憶が呼び出されようとしている。

「・・・どうしたの?」
「考えごと?」

友人にそう言われて気付く。
確かに考えごとをしている。

「う、ううん・・・」
「えっ!なになに!?」

よからぬことを考えているのが手に取るように分かる。
どうせ、好きな人が出来た・・・の展開だろう。

「好きな人でもできたの!?」
「はいはい・・・」

せっかくのムードも台無しだ。

「ムード?」
「朝から何、意味不明なこと言ってるのよ」

通学途中に古ぼけた家があった。
やや荒れていたから住んでいる人はいなかったはずだ。

「家?」
「その家・・・解体中なんだよね」

特にこの家に思い入れはない。
理由は簡単だ、見ず知らずの人の家だからだ。

「・・・どういうこと?」
「家の前を通り過ぎたらさぁ・・・、」

何だか、記憶を揺さぶる匂いがしてきた。
でも、それが何だか分からずにいる。

(No.1087-2へ続く)

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ホタル通信 No.484

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.572 ドクターイエロー
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

ドクターイエローが降り立った駅に居た・・・これについては事実です。尚、ドクターイエローをご存知ないかたはお手数がこちらをご覧ください。

今までドクターイエローは過去に数回、見た記憶があります。
とは言え、新幹線に乗車中にすれ違う・・・それも超高速ですから「黄色い物体」程度の認識しかありません。でも、これでもそれがドクターイエローだと思ってもいいですよね?

今回の話はそのドクターイエローが東京駅に停車していたことがきっかけの話ですが、この事実以外は創作です。
鉄道マニアではなくても、やはりテンションは上がりますよね?ですが、そんな気持ちとは裏腹に、すごく冷静に対応・・・正確にはまるで何もないかのようにその場所を後にしたことを覚えています。マジマジと観察するわけでもなく、写真を撮るわけでもなく。
本当はミーハーなくせに、それを悟られまいと必死だった記憶があります。今、振り返ると、もったいないことをした感が満載です。

小説そのものは、ドクターイエローをまるで幸運の神様だと言わんばかりに話を展開させています。
ラストはちょっとユーモスに締め括ってみました。「ドクターイエローに頼らずとも、彼氏の一人や二人、作ることなんて簡単よ!」みたいな感じです。もちろん、この部分は創作ですけどね。
T484
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[No.1086-2]西日

No.1086-2

「あはは!大袈裟な」
「単に昼寝しただけだろ?」

でも、せっかくの・・・。

「せっかくの休みだからこそ、ゆっくりすれば?」
「俺に気を遣わずにさ」

その言葉に嘘はない。
それどころか、嫌味の欠片も感じられない。

「ほんと、ごめん・・・」
「こうやって過ごす時間が大切なんだよ」

その一言に思わず頷いてしまった。

「一時停止してるから、続きから見ようよ」
「続き?・・・あっ!そうだった」

寝てしまう前に映画を見ていたことを思い出した。

「この映画、つまんないもんね」
「私が見よう!って言ったのに・・・」

それなのに、私が寝落ちしてどうするって感じだ。
無理やりつき合わせてしまったのに。

「そうか、なかなかシュールで好きだぞ?」

もちろん、私を気遣っての一言だ。
お世辞にも面白いとは言えない。

「続き見る?」
「嫌なら、寝ててもいいぞ?」

軽いジョークで返された。

「じゃあ、寝る!」
「どうぞどうぞ」

いつの間にかカーテンの隙間から西日は見えなくなっていた。
S1087
(No.1086完)
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[No.1086-1]西日

No.1086-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
物音で目が覚めた。

「・・・わぁー!もう夜!?」
「ごめん、ごめん、起こしちゃった?」

ウトウトし始めたのが午後3時ごろだったと思う。
その時はまだ外は明るかった。

「ごめん・・・寝過ごしたみたい」
「ううん、まだ4時だよ」

慌てて時計を確認する。
確かに、4時を少し回ったところだった。

「でも、部屋が真っ暗・・・」

言いながら気付いた。
暗いのは時間のせいではない。

「カーテン・・・閉めたんだ?」
「あぁ、西日が強かったからさ」

カーテンの隙間から漏れる光がそれを物語っている。

「明るいと寝にくいだろ?」
「う、うん・・・」

ここ数日の仕事疲れがどっと出てしまったようだ。
せっかく彼と休日を過ごしていたのに。

「起こしてくれればいいのに・・・」
「あまりにも気持ちよさそうに寝てたからさ」

あらためて言われると恥ずかしさが込みあがってくる。
マジマジと顔を見られていたかと思うと。

「でも・・・」
「気にしなくていいよ、全然」

そうは言っても何のための休日なのか。
自問自答したくなってきた。

(No.1086-2へ続く)

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