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[No.1080-2]おまじない

No.1080-2

「母がそうやってたんだよね」
「お母さんが?」

それが身に付いてしまっている、自然に。

「門前の小僧・・・ってことわざみたいね!」
「まさしく、それ!」

今では無意識にそれを行ってしまう。
ただ、肝心の意味がずっと分からずにいた。

「正しくは調べなかったんだけどね」

この行為に意味なんてないと思っていた。
だからこそ、調べても無駄だとも思っていた。

「けど、ダメもとでググってみたら・・・」
「答えがあったというわけね?」

そう、いとも簡単に答えが見つかった。
検索の候補に出てくるくらいだった。

「で、その意味は?」
「それはね・・・」

なんでも、アクをとるための行為らしい。
つまり、渋みや苦味をとるということだ。

「うそ!?知らなかった・・・」
「だろ?意外に知られてないと思う」

ずっと、何らかのおまじないだと思っていた。

「そう思っちゃうよ、普通」
「美味しくするための秘訣だったみたい」

それに気付いた時、あることにも気付いた。

「ひと手間掛けてくれてたんだって」

それは母の愛情だったと思う。
S1080
(No.1080完)
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