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2021年12月

[No.1085-2]怪獣じゃない!

No.1085-2

「これもそうなの?」
「ん?どれ?」

彼女が写真のひとつを指差す。
確かにそこにも怪獣が写っている。

「今までと違って笑ってなくない?」
「だよな?」

もう一度、それをよく確認した。

「・・・これ、怪獣のようで怪獣じゃないよ」
「今、思い出した・・・」

見た目は確かに怪獣だ。
と言うより、怪獣のルーツにあたるだろう。

「これ、恐竜だよ」
「ティラノサウルスだね」

怪獣が好きなだけに恐竜も好きだった。 
でも、比べると悪いが、怪獣のような派手さはない。

「これ、恐竜なのね」
「・・・だからなの?」

その通りだ。
加えて言うなら、僕が買ったのではない。

「これ、母が買ってきてくれたんだ」
「もちろん、僕は怪獣を頼んだんだけどね」

つまり、母が間違って買ってきた。

「・・・間違うよね?私も区別付かなかったし」
「でも、当時は母を責めちゃってさ・・・」

それが今でも心残りだ・・・ごめん、母さん。
S1085
(No.1085完)
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[No.1085-1]怪獣じゃない!

No.1085-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それは苦い思い出のひとつだ。
その原因は僕にあるのだが・・・。

「色んな人形を持ってたのね」
「あぁ、ウルトラマンが好きだったからな」

正しくは、ウルトラマンよりも怪獣の方が好きだった。

「満面の笑みの写真ばかりね」
「だよな!」

子供の頃の写真を見ている。
いたる所に、怪獣が登場している。

「今も持ってたらお宝ものだよ」
「そんな感じがするね」

捨てた記憶はないのに、現存はしていない。
多分、親が処分したのだろう。

「これなんてプレミアものだよ、きっと」
「これゴジラね!これくらいなら私も分かるよ」

ゴジラも怪獣だ。
ウルトラマンのくくりではないが。

「そうそう!」
「こっちは、ゴジラをパックた怪獣だよ」

ある特徴以外はほぼ同じと言っていい。
二体並ぶとそれが明確に分かる。

「まぁ、そんなゆるい時代だったよ」
「だろうね」

価格も覚えている。
ひとつ、360円だった。

(No.1085-2へ続く)

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ホタル通信 No.483

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.594 2年ぶりのメール
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

実話度100%ですので、いつもの通り、語り手は男性ですが必ずしも作者ではありません。

さて、この小説を要約すると「かつて一緒に働いたことがある女性と数ヶ月に一度程度のメールで繋がり続けていた。そこへきて、彼女の職場に出張で行くことになった」ということになります。
ただ、ある頃からメールが途絶え、2年振りのメールが送られてきたことから話が始まります。そのきっかけは、私の出張であり、そこで彼女と顔をあわせたことにほかなりません。
小説に書いてある通り、サプライズを演出する意図ではなく、余計な気を遣わせたくなかったために、出張で行くことは話していませんでした。
最初の出張がバレンタインデーと重なったこともあり、単なる妄想かもしれませんが、義理チョコなら用意し兼ねないと思い黙っていました。

遠くもなく、近くもない・・・彼女とはそんな関係でした。本質的な性格が似ていることもあったのかもしれません。確かに、1対1で飲みに行ったこともありますが、だからと言って二人の距離感が変わるわけでもなく、変えようと思ったこともありません。

この女性とは今でも繋がっていると言えば繋がっているのですが、色々ありまして・・・ただ、ドロドロしたものではなく、ちょっとしたすれ違いでけんかになり、なかなか許してくれなくて(笑)
T483
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[No.1084-2]落ち葉

No.1084-2

「相変わらず、詩人と言うか・・・」
「甘ちゃんなんだから!」

もう一度、言っておきたい。
悪気はないと言うことを。

「だよな!」
「そうよ!」

男のくせにちょっとセンチメンタルが過ぎるかもしれない。
彼女はそこを言っているのだ。

「昔、何かあったんでしょ?」
「どうせあなたのことだから」

他人が聞けばヒヤヒヤする会話だと思う。
でも、慣れればそれほどでもない。

「よく分かるな?」
「何年、一緒にいると思ってるのよ!?」

悪態を付けども、僕のことをよく見てくれている。
だからこそ、僕がここに居れるわけだが。

「だよな!」
「そんなの見てないで行くわよ!」

強引に僕の腕を引っ張る。
その力の強いこと、強いこと・・・。

「そ、そんな強く引っ張るなよ・・・」
「いいの!」

彼女なりに、はしゃいでるのは確かだ。
落ち葉を見て思い出したのだろう・・・あの日のことを。
S1084
(No.1084完)
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[No.1084-1]落ち葉

No.1084-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
大袈裟に言えば自然が作り出した芸術作品だ。

「なに見てるの?」
「ん?あーごめんごめん」

目の前に落ち葉の塊が転々と存在している。
それが何とも不思議な光景を醸し出している。

「落ち葉だよ」
「落ち葉?見る価値あるの?」

誤解のないように言っておこう。
彼女に悪気はない・・・多少、口は悪いが。

「見てみなよ」
「だから、見てるって!」

繰り返すが、性格は決して悪くない。

「ほら、一塊になってるだろ?」
「風の力で」

一枚一枚があちこちに散らばっているのではない。
一塊になって集団を形成している。

「人間みたいだろ?」
「あちこちに集団があってさ!」

まるで納得していない顔をした彼女が見える。
ちょっと詩人過ぎただろうか・・・。

「まぁ、そう言われると・・・」
「そう見えなくもないね」

まるで木枯らしに吹かれて肩を寄せ合う人間のようだ。
僕にはそんな風にしか見えない。

(No.1084-2へ続く)

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[No.1083-2]ポスポス

No.1083-2

「近い?」
「遠くはないよ」

なぜ、そう呼ぶようになったのかは覚えていない。
気付けばそう呼ぶようになっていた。

「なんか、スカスカな感じがするのよね」
「ポスポスっていうくらいだから」

そう言われるとそんな気がしてくる。
見た目を擬音にしたような感じだ。

「擬音?」
「そう、擬音!」

でも、いつしかポスポスと呼ばなくなっていた。
まぁ、人には伝わらないだろうから。

「もうちょっとヒントちょうだい!」
「じゃぁ、大ヒント!昨日、食べたよ」

それでも候補の食材は山のようにある。
見つけるのは容易ではない。

「昨日・・・か」
「ん?」

何かを察したようだ。

「ポスポスでしょ?」
「・・・あれじゃないかな」

予想に反して一発で当てようとしている。

「確かに、ポスポスね」
「もう、ポスポスにしか見えなくなってきたよ」

僕はもう普通にマカロニって呼んでるけど。
S1083
(No.1083完)
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[No.1083-1]ポスポス

No.1083-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「クイズ出していい?」

不意にあることを思い出した。
十数年前の記憶だ。

「・・・いいけど?」
「ポスポスって何だと思う?」

彼女がキョトンとしている。

「ポスポス?」
「そう!ポスポス!」

なぜかオウム返しをしてしまった。

「ヒントは?」
「え~、もうヒントかよ?」

とは言え、ノーヒントはさすがにきついだろう。
せめて、ジャンルくらいは話した方が良い。

「じゃあ・・・ある食べ物だよ」
「小さい頃、そう呼んでたんだ」

もちろん、正式な名前はある。
けど、なぜだかそう呼んでいた。

「食べ物・・・」
「まぁ、多少、見た目がそんな感じ」

あくまでも僕の見た目でだが・・・。

「ポスポス・・・細いっぽい?」
「おっ!」

決して遠くはない答えがいきなり出てきた。

(No.1083-2へ続く)

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ホタル通信 No.482

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.597 資格取得
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

多少、創作の部分はあるものの、実話度はほぼ100%です。一時期、資格取得に励んでいた時がありました。

ほぼ100%の小説なので、書いてある通りです。資格取得の勉強は苦しいものの、合格の声を聞くとそれが昇華され、幸せな気分になります。もちろん、上手く行くことばかりではありませんが。
私は性格的に、白黒を付けたいタイプなので、「やる時にはやる」「やらない時は全くやらない」ことが多々あります。言い換えると、部屋が散らかっていても全く平気な一方で、一度掃除をし始めたら、全部綺麗にしないと気がすまない・・・そんな感じです。

資格取得についても、「やるぞ!」と決めたらとことんやることがいい結果に結び付いたと思っています。
ただ、ラストに書いている通り、昇格と言う文字はチラついてはいましたが、それが主目的ではなく、彼女に褒めてもらいたかった、それが大きな理由でした。男って、そんなところがありますよね?
前述しましたが、社会人ともなると、勉強する時間を確保することも難しくなりますし、誘惑も多く、色々な意味で苦しい時間でした。
でも、毎日、充実していたようにも思えます。今現在も当時のような熱意はあるものの、身体が付いて来ない・・・ですね。

これを期に、またあらたなチャレンジをしてみようかと、自分の小説に気付かされる人がここに居ます。Photo_20211217215001
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[No.1082-2]マカロニサラダ

No.1082-2

「しかし、何で入ってるのかな・・・」
「知ってる?」

その答えは“ノー”だ。
気にはしていたが、わざわざ調べたことはない。

「まさか!」
「自然な甘みを出すため?いや、酸味かな?」

今の時代、ググればすぐに答えは見つかるだろう。

「調べてみる?」
「いいよ別に、どうせ食べないし」

ここまで嫌われていると不憫に思う。
酢豚の中に入っただけでこの嫌われようだ。

「今度、言ってみるよ」
「パイナップル抜きで・・・って!」

調理してくれる食堂のおばさんの顔が目に浮かぶ。

「いくら社員食堂でも・・・」
「いいじゃん、これも福利厚生の一環として!」

“違うでしょ?”と言いたくなる気持ちをおさえた。

「話は変わるけど、今夜、家くる?」
「夕食、一緒に食べない?」

色々と話したいことがある。
仕事のこと、恋愛のこと・・・。

「いいの?行く行く!」
「得意のマカロニサラダ作るよ、リンゴ入りの!」
Photo_20211215224301
(No.1082完)
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[No.1082-1]マカロニサラダ

No.1082-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「食べないの?」
「これだけは無理!」

それなら“頼まなきゃいいのに”と素直に思う。
けど、その気持ちがわからなくもない。

「じゃあ、他のメニューにすればいいのに」
「だって、酢豚自体は好きなんだもん!」

案外、多いと思う。
酢豚は好きでもある食材だけは許せないという人が。

「一応聞くけど、パイナップルは?」
「好きだよ、とっても!」

思った通りの展開だった。
酢豚は好き、でもパイナップルは嫌いのパターン。

「何でわざわざ入れるかね~」
「別々に食べるものじゃん!普通」

彼女の普通は、料理の上での普通ではない。
ただ、違和感が全くないわけでもない。

「私も出来ればない方が好きだけど・・・」
「でしょ!」

酢豚が誕生したときにすでに入っていたのか。
それとも、後付けで入ったのか・・・。

「いずれにせよ、残すから」
「まぁ、無理強いはしないよ」

私なら、良い子ぶるつもりはないが残さず食べる。
これは両親からの教えだ。

(No.1082-2へ続く)

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[No.1081-2]超・生活感がある話

No.1081-2

「ふ~ん」

怪訝そうな顔をしているが、話が終わりそうだ。

「言ってなかったけど・・・」
「俺、紅茶好きなんだよ」

知らなかった・・・。
紅茶を飲んでいる姿を見たことがなかったからだ。

「うそでしょ!?」
「だって、いつもコーヒーじゃない?」

カフェに行ってもコーヒーを頼む。
夏はアイスで、冬はホットで。

「カフェの紅茶ってさぁ、俺の口に合わなくて」
「まずいと言うことじゃなくて、茶葉の・・・」

好みの茶葉ではないらしい。

「じゃあ、どんな茶葉が好きなの?」
「普通に売ってる、ほらイエロー・・・」

彼が言い終わる前に、実物を差し出した。

「これ?イエローラベルだけど」
「そう!これだよ」

意外な展開だった。
彼が紅茶好きだということ、そして好みも同じだということ。

「もう一度使うんだろ?そのティーパック?」
「俺も、同じことしてるからさ」

知っててとぼけていたようだった。
でも、このお陰で彼との仲が深まったのは間違いない。
S1081
(No.1081完)
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[No.1081-1]超・生活感がある話

No.1081-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「これ、何?」
「あっ!それは・・・」

隠しておくべきだった。
一応、彼の前では今どきの女子ということになっている。

「それはね・・・脱臭と言うか・・・」
「気になる臭いを・・・」

以前、聞いたことがある。
脱臭効果があると・・・物は違うが。

「脱臭?」
「それって、コーヒーの出し殻じゃなかったっけ?」

(知ってたの!?)

意外にも彼もそれを知っていた。
そうなると、強引に誤魔化すほかない。

「そうだっけ?」
「紅茶も効果があるのよ!」

もっともらしい顔をして言い切った。
本当の理由を知られるわけにはいかないからだ。

「へぇ~そうなんだ、知らなかったよ」
「でも、紅茶は紅茶だけど、ティーパックだよね?」

話が終わると思っていたのに続けるつもりだ。
ここは空気を読んで欲しかった。

「そ、そうよ!」
「これでも効果があるの!」

あらためて思う。
それを隠しておけば良かった・・・と。

(No.1081-2へ続く)

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ホタル通信 No.481

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.439 待つ少女
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

シチュエーションはかなり違うものの、話の主軸である“待つ少女”のことは事実です。少女と言っても中学生だったと思います。

朝、その少女を見掛ける様になりましたが、最初は何も感じませんでした。ただただ友達を玄関先で待っているのだと・・・。
ところが、日が経つに連れ、その光景に違和感を覚え始め、「何時から待っているのだろうか?」と気になり始めました。出会いが冬だったこともあり、余計にそう思ったのかもしれません。実はここまでが実際に起きた出来事、私の気持ちの動きです。

後半、私の気持ちが後悔の念と共に、膨れ上がっていく様は全て創作であり、もちろん、友人を待たせていたこと、そして友人との関係が遠のいてしまったことなども事実としてありません。
ただ、小説を書いている中で、多少なりとも似た経験をしたことがあったので、それをかなり誇張して書いたものだと言えます。

この小説に特に思い入れはないのですが、読み返してみると小説の作り方にどこか懐かしさを感じました。
T481
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[No.1080-2]おまじない

No.1080-2

「母がそうやってたんだよね」
「お母さんが?」

それが身に付いてしまっている、自然に。

「門前の小僧・・・ってことわざみたいね!」
「まさしく、それ!」

今では無意識にそれを行ってしまう。
ただ、肝心の意味がずっと分からずにいた。

「正しくは調べなかったんだけどね」

この行為に意味なんてないと思っていた。
だからこそ、調べても無駄だとも思っていた。

「けど、ダメもとでググってみたら・・・」
「答えがあったというわけね?」

そう、いとも簡単に答えが見つかった。
検索の候補に出てくるくらいだった。

「で、その意味は?」
「それはね・・・」

なんでも、アクをとるための行為らしい。
つまり、渋みや苦味をとるということだ。

「うそ!?知らなかった・・・」
「だろ?意外に知られてないと思う」

ずっと、何らかのおまじないだと思っていた。

「そう思っちゃうよ、普通」
「美味しくするための秘訣だったみたい」

それに気付いた時、あることにも気付いた。

「ひと手間掛けてくれてたんだって」

それは母の愛情だったと思う。
S1080
(No.1080完)
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[No.1080-1]おまじない

No.1080-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
小さい頃からずっと気になってはいた。
でも、単なるおまじないだと思っていた。

「最近、長年のなぞが解けたんだよ」
「へぇ~どんな?」

料理男子とは言わないが、自炊をしている。
その関係で野菜を切ることがある。

「すごく当たり前の話じゃない?」
「ここからだよ、大切なところは」

僕はきゅうりを切る時にある行動をする。
そんな大袈裟なことではないが・・・。

「行動?」
「きゅうりって、ヘタの部分を切り落とすよね?」

もちろん、切り落とさない人もいる。

「そうね・・・硬いから」
「それが大切なの?」

大切なところはこのあとだ。
切り落としたヘタをそのまま捨てるのではなく・・・。

「食べちゃうの?」
「じゃなくて、こすり合せるんだ」

説明が難しいが、この言葉通りだ。
ヘタと実の部分をこすり合わせる。

「切った面同士を、こうやって・・・」

ここにきゅうりがあれば話が早い。
それがあれば一目瞭然だ。

「あぁ、何となくわかる」
「けど・・・なんで?」

そう、僕もこの意味が分からずにいた。

(No.1080-2へ続く)

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[No.1079-2]まぶしい人

No.1079-2

「何だか分かるような分からないような・・・」

ライバル校も一目で分かる。
ジャージはライバル心を大いに燃やすアイテムだ。

「余計に分からないよ」
「とにかく、そういうこと!」

自分でもうまく結論が出せず強引に話を終わらせた。

「そう言えば、陸上部だったよな?」
「そうよ」

彼女とは数年前に知りあったが、共通項が多い。
同い年、同郷、学校は違えどもお互い陸上部だった。

「だったら分かるでしょ」
「ちょっとくらい俺の気持ち・・・」

自ら話をぶりかえしてしまった。

「私は・・・そんな気持ちになれなかったわよ」
「男子と女子じゃ違うのかな?」

“熱かった”のは男子だけだったのかもしれない。
ある意味、子供だったということだ。

「さぁ、どうだろう?」
「私だけかもしれないけど」

いずれにせよ、ジャージ姿の高校生は輝いていてまぶしい。

「当時、あなたもまぶしかったわよ」
「えっ!?」
S1079
(No.1079完)
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[No.1079-1]まぶしい人

No.1079-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「なに凝視してるのよ?」
「えっ!?いや、その・・・」

すぐに答えられないから疑われてしまう。
別にやましいことはひとつもないのに。

「誤解だよ、誤解!」
「別に何も言ってないけど?」

誘導尋問に引っかかってしまったようだ。
不適な笑みを浮かべている。

「いじわるだな・・・」
「ちょっとからかってみただけよ」

そのちょっとで、いつもアタフタしてしまう。
多少なりとこちらに非がないとは言えないからだ。

「懐かしいんでしょ?」
「よ、よく分かるな!?」

自宅の近くに大きな競技場がある。
サッカーをはじめ、陸上競技なども行われている。

「まぁ、私も体育系だったし」
「あっ!そうだったね」

今日は高校の陸上競技が行われるようだ。

「この一体感がいいんだよな」
「一体感?」

当たり前かもしれないが、学校ごとにジャージが違う。
この違いこそが一体感を生む。

(No.1079-2へ続く)

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ホタル通信 No.480

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.548 財布を忘れた!
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

実話度はそこそこ高めで、実際、財布を忘れた人に遭遇して小説に書いてあるような、可愛い仕草が展開されました。

財布を忘れる程度なら、小説にはしなかったのかもしれませんが、前述した通り、一連の行動が可愛かったことで小説になりました。
小説にも書いている通り「サザエさんかっ!」と心の中で、突っ込んだ記憶があります。ただ、今なら、財布を忘れたとしてもICカードやスマホで乗車できることを思えば、ひと昔ならではの小説なのかもしれませんね。

この財布を忘れた行為に、尾ひれ背ひれをつけたような感じで仕上がっています。つまり、それ以外は創作ということになります。
特にラストでは「指輪を忘れたことに気付いた」となっていますが、さすがに都合よくオチないので、それっぽく作られたものです。
話は戻りますが、財布を忘れると、昔なら大事になっていたでしょうが、今なら、そもそも財布を持ち歩いていない人も大勢いらっしゃいます。
冬のホタル的にはどちらが絵になるか・・・ちょっと考えてしまう今日この頃です。
T480
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[No.1078-2]まだ早い

No.1078-2

「ほら、何年か前に・・・」
「あった!あった!」

薄っすらと積もる程度だったのに交通がマヒした。
もちろん、札幌では考えられない。

「あれは凄かったよ、別の意味で」
「ほんとね、あんな程度でマヒするなんて」

彼女も僕も、気楽に構えすぎていた。
雪国の人にとっては当たり前すぎる光景だったからだ。

「逆に・・・大変だったね」
「まさか、まさかの連発だったよ」

ちょっとした坂道で通行止めになっていた。
高速道路は言うまでもない。

「話を戻すけど・・・」
「札幌もいよいよ冬本番だね」

もう少しすれば、街も本格的に冬の装いに変わる。

「2、3日は寒気が居座るそうよ」
「そうみたいだね」

でも、地元民だからこそ言える一言がある。

「根雪になるにはまだ早いよな」
「そうだね!」
S1078
(No.1078完)
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[No.1078-1]まだ早い

No.1078-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
地元を離れていても、その強みは残っている。

「ニュース見た?」
「見たよ」

地元に居れば、全く気にしないニュースだ。
いや・・・地元ではそもそもニュースにすらならない。

「街中で、1センチの積雪だって」
「もう、そんな季節なんだね」

そろそろ11月も終わろうとしている。
そうなると、本格的な冬が目前だ。

「すごく吹雪いてたね」

11月の積雪は珍しいことではない。
平地でも10月に初雪が降ることもあるくらいだ。

「でもさぁ、地元に居るときは」
「雪の話、したっけ?」

彼女と僕は札幌出身だ。
お互い転勤で大阪の地にやってきて5年になる。

「まぁ、しないね」
「よぽどのことがない限り」

けど、大阪で積雪があれば別だ。
ある意味、大騒ぎになる。

(No.1078-2へ続く)

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