[No.1071-2]大きな板チョコ
No.1071-2
「それなら何なんだろうね?」
「それが今でも、なぞのまま・・・」
誕生日でもなければクリスマスでもない。
全く普通の日の出来事だった。
「子供としては大喜びだったと思う、多分」
「多分?」
記憶の中には喜んでいる私の姿はない。
チョコの記憶はあるのに他の記憶はほとんどない。
「食べたと思うんだけどな・・・」
「まさか、他の人へのプレゼント?」
自宅をワンクッションにしただけ。
その可能性も否定はできない。
「まぁ・・・なくもない・・・ね」
他人へのプレゼントを私の・・・と記憶違いをしている。
もしこれが事実なら、ちょっと切ない話に変わる。
「なんなら本人に聞いてみたら?」
「いやいや、聞けないから困ってるの!」
別にけんかしているわけではないが、何だか聞きにくい。
「そんなものなの?」
「そんなものなの!」
特に今は・・・悪い意味ではなく、ピリピリしている。
「けど、そんなに気になるなら聞いておかないと」
「私みたいに後悔するわよ?」
確かに友人の言う通りかもしれない。
まだ、父が元気なうちに。
(No.1071完)
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