[No.1069-1]風のせい
No.1069-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、こんな経験ない?」
「どんな?」
とある俳優の訃報をニュースで知った。
今年に入ってもう何人目だろうか・・・。
「昔から居る俳優が亡くなったら、親が・・・」
早い話、解説をしてくれる。
こんな人だったとか、こんなテレビに出ていたとか。
「それ、あるあるかも!」
「確かにそうかもしれないね」
別に知りたくもないが、話す親は嬉しそうだった。
もちろん、亡くなったことに対してではない。
「親ってさぁ、昔話が好きだよね」
「ほんと、そうだよね」
生まれてもいない時代の話をされても仕方がない。
ましてや、その俳優の若いときの話をされても・・・。
「けど、嫌いじゃなかった」
「・・・私も同じ」
ある意味、その俳優に敬意を表していると思う。
昔話をすると言うことは。
「親なりの偲び方なんだろうね」
「そうかもしれない」
それがいつしか俳優の話から自分の話に変わる。
「そうそう!」
「別に聞きたくもないのにさぁ」
ただ、何故なんだろう・・・。
そう思っていても、つい、聞き入ってしまうのは。
| 固定リンク | 0
「(043)小説No.1051~1075」カテゴリの記事
- [No.1075-2]!でいなら走(2021.11.23)
- [No.1075-1]!でいなら走(2021.11.21)
- [No.1074-2]早く言ってよ!(2021.11.18)
- [No.1074-1]早く言ってよ!(2021.11.17)
- [No.1073-2]ヘリコプター(2021.11.16)
コメント