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[No.1069-1]風のせい

No.1069-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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「ねぇ、こんな経験ない?」
「どんな?」

とある俳優の訃報をニュースで知った。
今年に入ってもう何人目だろうか・・・。

「昔から居る俳優が亡くなったら、親が・・・」

早い話、解説をしてくれる。
こんな人だったとか、こんなテレビに出ていたとか。

「それ、あるあるかも!」
「確かにそうかもしれないね」

別に知りたくもないが、話す親は嬉しそうだった。
もちろん、亡くなったことに対してではない。

「親ってさぁ、昔話が好きだよね」
「ほんと、そうだよね」

生まれてもいない時代の話をされても仕方がない。
ましてや、その俳優の若いときの話をされても・・・。

「けど、嫌いじゃなかった」
「・・・私も同じ」

ある意味、その俳優に敬意を表していると思う。
昔話をすると言うことは。

「親なりの偲び方なんだろうね」
「そうかもしれない」

それがいつしか俳優の話から自分の話に変わる。

「そうそう!」
「別に聞きたくもないのにさぁ」

ただ、何故なんだろう・・・。
そう思っていても、つい、聞き入ってしまうのは。

(No.1069-2へ続く)

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