« [No.1069-1]風のせい | トップページ | [No.1070-1]今日も頼むよ! »

[No.1069-2]風のせい

No.1069-2

「今日も、俳優の訃報があったね」
「うん、私もさっき知った」

それなりに昔に出演していたテレビも知っている。
気付けば私もそんな歳だった。

「この頃、知っている人の訃報が増えたよね?」
「そりゃそうよ」

私たちもそれなりに長く生きている。
これからもっと増えていくだろう。

「あの頃はこうだったとか、こんなテレビに出てたとか」
「親と同じこと、言うんだろうな」

親の影響ではなく、自然とそうなってしまう。

「それだけ歳をとったということよ」
「まだまだ若いわよ!」

とは言え・・・歳は目前だ。

「でも、今日はありがとうね」
「付き合ってくれて」

母の墓参りに友人も付き合ってくれた。

「ううん・・・逆にありがとう」
「随分、よくしてもらったのに御礼も言えてなかったから」

母もきっと喜んでいることだろう。

「もっと、いっぱい話したかったな」
「何なら、今ここで話してみたら?」

間髪いれずに、友人が提案してくれた。

「そうだね・・・あのね・・・」

供えたひまわりがこちらを向いたのは風のせいなんだろうか。
S1069
(No.1069完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.1069-1]風のせい | トップページ | [No.1070-1]今日も頼むよ! »

(043)小説No.1051~1075」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1069-1]風のせい | トップページ | [No.1070-1]今日も頼むよ! »