[No.1064-1]羽ばたけ大空へ
No.1064-1
登場人物
女性=牽引役 女性=相手
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今年は意外なところでそいつと出会った。
危うく、そいつを轢いてしまうところだった。
「・・・どうしたの?」
「何だか嬉しそうじゃん!」
いつもなら物悲しくなるのに今日は違う。
「今年は早々に・・・」
「もしかして・・・アレ?」
毎年恒例の出来事だ。
いい加減、友人も覚えてしまったようだ。
「そう、アレ!」
毎年、夏にある出会いがある。
出会いというほど大袈裟なものではないが。
「まだ夏が始まったばかりよね?」
それはセミとの出会いだ。
それも、消えゆく命の出会いでもあった。
「そうね、でも先週から鳴き始めたから・・・」
セミの一生は短い。
いや・・・正確には地上に出てきてからが短い。
「そっか、そいつらなら・・・」
「だろうね」
ただ、今年はあることが違った。
「あること?」
「そう言えば・・・嬉しそうだったもんね」
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