[No.1057-2]導かれるもの
No.1057-2
「あの・・・熱は無いよね?」
「失礼ね!」
とは言うものの、やや“向こうの世界”に行った感が否めない。
占いとか信じやすい体質だからだ。
「好きだね、そんな話題」
「まぁ・・・ね」
でも、正確に言えば“好き”という感覚ではない。
すがらずには居られない・・・と言った感じだ。
「そっちの方が心配よ!」
「あはは、そうかも」
生きていれば色々なことがある。
仕事も恋も順風満帆とは言えない私は特に・・・だ。
「早い話、悩みごとがあるの?」
「いや・・・どうだろう?」
明確な悩みごとがないから、逆に悶々としている場合もある。
何が私をそうさせているのかと。
「そこに来て数字が・・・」
「なるほど・・・それに繋がるわけね」
溺れる者は藁をも掴む・・・とはまさしくこのことだ。
私の場合、数字を掴んでしまったというわけだ。
「別に現実逃避しようと思ってるわけじゃないよ」
「分かってるよ」
何でもいいから突破口を見つけたい。
そんな気持ちだ。
「でも何だかスッキリしたかも・・・あなたに話せて」
「そう?それなら良かったよ」
数字が揃うと小さな喜びを生む。
それが人と人とを結びつけるのだ。
(No.1057完)
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