« [No.1048-1]二十四の瞳 | トップページ | ホタル通信 No.465 »

[No.1048-2]二十四の瞳

No.1048-2

「そう言えば・・・」
「そうやね」

先生を目指していたと聞いたことがあった。
確か、音楽の先生だった。

「昔の話やね」
「昔、昔のね」

挫折したわけじゃない。
“色々あった”からだ。

「まぁ、選択肢は無限にあるさ」
「かもしれんな」

その“色々”に僕も少なからず関係している。
いや・・・。

「後悔は?」
「してるわけないやん!」

その言葉に嘘はないと思う。
でも、今、なぜ、その本なんだろうか?

「その本、買ったの?」

そう言えば肝心なことを聞いていなかった。

「買ったよ、随分前やけどな」

と言うことは今、引っ張り出して読んでいることになる。

「・・・そっか」

それが何を意味しているか、僕にはわからない。
けど、二つの瞳は輝いて見える。

「なに見てんねん!恥ずかしいやろ」
S1048
(No.1048完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ
ブログランキングへ にほんブログ村 小説ブログ 短編小説へ web拍手 by FC2

| |

« [No.1048-1]二十四の瞳 | トップページ | ホタル通信 No.465 »

(042)小説No.1026~1050」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« [No.1048-1]二十四の瞳 | トップページ | ホタル通信 No.465 »