[No.1048-2]二十四の瞳
No.1048-2
「そう言えば・・・」
「そうやね」
先生を目指していたと聞いたことがあった。
確か、音楽の先生だった。
「昔の話やね」
「昔、昔のね」
挫折したわけじゃない。
“色々あった”からだ。
「まぁ、選択肢は無限にあるさ」
「かもしれんな」
その“色々”に僕も少なからず関係している。
いや・・・。
「後悔は?」
「してるわけないやん!」
その言葉に嘘はないと思う。
でも、今、なぜ、その本なんだろうか?
「その本、買ったの?」
そう言えば肝心なことを聞いていなかった。
「買ったよ、随分前やけどな」
と言うことは今、引っ張り出して読んでいることになる。
「・・・そっか」
それが何を意味しているか、僕にはわからない。
けど、二つの瞳は輝いて見える。
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