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[No.1047-1]赤いレモン

No.1047-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
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そろそろ今年も始めようと思う。

「えっ!?まだ正月気分?」
「あのね・・・」

冗談ではなく、本気でそう言うからたちが悪い。
さすがの私もそこまでのんびりはしていない。

「じゃあ、何を?」
「そろそろ覚えてよね!?」

それをかれこれ10年くらい続けている。
春の恒例行事と言ってもいいだろう。

「・・・なんだ、アレか!」
「わざわざ“アレ”って言う必要ある?」

いちいち面倒な友人だ。
周りに人がいたら聞き耳を立てられそうだ。

「アレはアレじゃん!」
「はいはい・・・」

ようやく気温も落ち着いてきた。
今週の週末あたりが良いだろう。

「今年は何にするの?」
「いつものアレと・・・」

友人につられて、自分も“アレ”と言ってしまった。
アレとはゴーヤのことだ。

「他には?」
「うん、今年はトマトに再チャレンジしようかと思って」

家庭菜園を始めたころ、トマトを育てたことがあった。
けど、見事に失敗した。

「強烈に酸っぱかったよね」

それはトマトではなく、赤いレモンだった。

(No.1047-2へ続く)

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