[No.1043-2]私たちも
No.1043-2
「私たちもそうだったね」
希望や不安に満ち溢れていた。
おかしな表現だけど。
「でも、あなたに出会えてよかったよ・・・」
「なによ、気持ち悪いわね」
こんな悪態をつけるのも、友達だからだ。
お互いの手の内は知っている。
「最初はギクシャクしてたもんね」
「そうそう!」
友達になれそうでなれない時期がしばらくあった。
「だから一気に友達になれたよね」
「今までの時間を取り戻すかのように」
それからは怒涛のごとく仲良くなった。
そして、今に至る。
「繰り返すようだけど・・・」
「ほんと、制服が眩しいね!」
確かに、その集団に圧倒される。
加えてその若さにも。
「そりゃそうよ」
「いくら私たちが若いと言っても」
10歳くらいは離れている。
とても話題が合いそうにない年の差だ。
「さぁ!私たちは私たちで行くわよ」
「だね!」
私たちもある意味、そんな目で見られているだろう。
着こなせていない地味なスーツにハイヒールだと。
(No.1043完)
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