[No.1045-1]そこに立つ
No.1045-1
登場人物
男性=牽引役 女性=相手
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「わぁ・・・きれいだね!」
「いつものことだろ?」
毎年、今時期になると桜で有名な場所を訪れる。
そして、いつものごとく・・・。
「もぉ!冷めてるわね!」
「だっていつものことだろ?」
年に一度とは言え、毎年、同じ光景が繰り返される。
決してうんざりしているわけではないが・・・。
「ほら見てよ!?」
「白とピンクのバランスがさぁ・・・」
去年もそのセリフを聞いた。
いや・・・正確には一昨年も、さらにその前も。
「そんなこと言うと嫌われるわよ?」
「ほんとのことだろ?」
毎年、誘われるものの、あまり乗り気ではない。
でも、別に桜が嫌いなわけではない。
「なんかこう・・・春になったら」
「みんな桜、桜って」
早い話、天邪鬼とでも言えばよいのだろうか?
人の集まる場所が好きではない。
「みんな浮かれちゃってさ!」
天邪鬼というより、ひねくれ者の方が似合う。
「ひねくれ者ね!」
「自覚してるよ」
本当は人一倍、はしゃぎたいのかもしれない。
特に今日みたいな暖かい日の午後は。
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