[No.1034-2]水道水
No.1034-2
「ごめん!また話が脱線した」
「だと思った」
そう・・・学校で喉が渇いた時の話をしていた。
「どうしてたの?」
「そりゃ、アレしかないだろう」
運動場とかにある水道で水を飲んでいた。
室内ではなく、なぜか外の水道で。
「・・・変ではないよね」
「そうか?当時はさぁ・・・」
水道の水を飲むことは、いけないことだとされていた。
明確に禁止されていたわけではないが。
「だから、ためらいながら飲んでたよ」
先生の目を盗むようにして。
「なんで?」
「なんでだろうね、ただ・・・」
今考えると思い当たる節はある。
「多分だよ、当時の水質に問題があったと思う」
「汚れてたの!?」
そうではない。
清潔過ぎて・・・と言ったほうが角が立たなくて済む。
「あぁ・・・何となくわかる」
「当時はちょっと匂いがキツかったのかもね」
ただ、それも大きな誤解だと分かる。
それなら、自分の家だって同じだったはずだ。
「結局、飲みすぎてお腹を壊さないように・・・と」
「“先生の配慮があった”ということね」
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