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[No.1039-2]スープの味

No.1039-2

「まぁ・・・何とか伝わるけど」
「で、肝心の味は?」

その味を決めているのが、そのスープだ。
これが何とも表現しがたい。

「甘い、辛いで言えば、甘みがあって」

けど、強烈な甘みではなく、限りなく薄味だった。
でも、ちゃんと旨みはあった。

「無色とは言わないけど、ほぼ透明だった」
「鶏肉に合う、サラサラのスープか・・・」

もちろん、とっくの昔にググッた上でのこの悩みだ。
だからこそ、解決までのハードルは高い。

「知りうる限りでは思いつかないね」
「まぁ、随分昔の料理だしな」

正確には僕が小さい頃に、食卓にならんだご馳走だ。
誕生日などに母が作ってくれた。

「母の味か・・・手ごわいね」
「オリジナルってこともあるし」

確かにそんな気がしないでもない。
実際、家の外でそれを食べたことも見たことも無い。

「どう?できそう?」
「・・・そうね」

そんな料理を彼女にリクエストしている。

「頑張ってみるよ!」

もう少し早ければ、それについて聞くことができたのに。
S1039
(No.1039完)
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