[No.1036-2]完全な個室
No.1036-2
「ところが?」
「あぁ・・・その城も長くは続かなくてさぁ」
別に城を攻められたわけじゃない。
いわば、城を出て行くことになった。
「出て行く?・・・あぁ・・・そういうことね!」
就職を気に家を出ることになった。
「これから個室を満喫!だったのに」
「あはは、確かに!」
結局、僕の完全個室の人生は2年も無かった。
「でも、今は完全個室じゃん?」
確かにその通りだ。
昔よりも、今のほうが完全個室だ。
「そうなんだけど・・・」
「なんて言うか・・・違うんだよな」
一人暮らしの個室と僕は思う個室は違う。
うまく説明はできないが・・・。
「言いたいことは分からなくもないけどね」
「だろ?」
話は少しそれるが、家族がいて僕がいた。
家族と過ごすことも一人になることも可能だった。
「贅沢な話かもな」
「・・・かもしれないね」
都合よく一人になりたい・・・そんな個室に憧れていた。
「それなら、ひとつ提案があるの?」
「・・・なんだよ?」
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